自然

小笠原地域振興の新しい取り組みパート4 「木の加工品」

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4回目の今回は前回の続きで、「ライブドリアード2020 in Ogasawara」で木材を使った体験施設をご紹介します。

本日は「ジャンベのワークショップ」をご担当する木村優さん(太鼓と器Kimuranoki 代表)からお話を伺いたいと思います。

太鼓と器Kimuranoki 代表木村さん

太鼓と器Kimuranoki 代表木村さん

「ジャンベのワークショップ」をご担当 木村優さんインタビュー

小笠原マガジン編集部
ワークショップの内容をお聞きする前に、木村さんはジャンベを作るためにクラウドファンディングで資金調達をされたそうですね。

しかも国土緑化推進機構の補助金でアカギのジャンベを制作されたそうですね?
ジャンベについてご存知ない方もいらっしゃいますと思いますので、ジャンベについての説明と、なぜジャンベづくりを始められたのか教えていただけますか?

木村
はい。まずクラウドファンディングについてですが、ジャンベを作る専門的な道具の購入資金を支援していただきました。
そのお礼として島の木で作った器をお渡ししました。
初めての事だったので不安でしたが、本当に沢山の方に応援していただきジャンベ作りをスタートする事が出来ました。とても感謝しています。
アカギのジャンベは国土緑化推進機構から制作費を出していただいてます
といっても、国土緑化推進機構から直接ではなく、「外来種アカギの利用」を目的に助成を受けて様々な利用法を模索されている本家ライブドリアードの主催団体さんからの依頼なのですが(笑)
ジャンベはギニア、マリ、コートジボワールと言った西アフリカの国々、その一帯の地域が発祥とされ、西暦1230年頃から現在まで続く、長い歴史を持つ伝統的な太鼓です。
今では世界中で愛されていて、人と人の距離を近づけ、国と国をも繋ぐ、本当に素晴らしい楽器です。
僕自身のジャンベの出会いを話すと、今年で父島に住んで12年目になるのですが(おそらく。笑)、移住した当初住んでいた家の隣にヤンキータウンって名前のBARがありまして、オーナー手作りの本当に渋くてかっこいいお店ということもあり、夜な夜な島のかっこいい人、面白い人達が集ってライブなんかをしてるんです。
元々色んな音楽が好きだったこともあり、頻繁に遊びに行くようになりました。
そこで見たバンドが叩いていたパーカッションがジャンベでした。
その演奏が本当にカッコよくて、身体の内側まで響いてきてしまって…すぐにネットで買って、ビーチで友達と自由に叩いて、遊んで、汗をかいたら海で泳いでっていう最高な昼の休憩時間を過ごしていました(笑)
このジャンベ、大きな木の幹をくり抜いて、そこにヤギの皮が張られて作られています。
そう、2つの命をいただいて出来ています。
アフリカでは切り倒す木を囲んで、太鼓を叩き、踊り、歌い、祈るそうです。
もちろんヤギは食用にも使われるそうです。
この事を知った時に父島で駆除されている木とヤギを『ジャンベに生まれ変わらせたい!』と、強く思うようになりました。
それ自体、エゴかも知れませんが、『いただきます』という想いで感謝を表したかったんです。
だから気が付いたら作り始めてしまっていたんです(笑)

様々な種類のジャンベ

小笠原マガジン編集部
ジャンベのワークショップの他に物販もされるそうですね。

商品ラインナップや料金、営業時間、1度に体験できる人数など教えてください。

木村
そうですね。すべて島で伐採された木で作っていて、ジャンベを何個かと、木の器、ランプシェードを販売いたします。
木工旋盤というロクロで、木を回転させながら、そこに刃物をあてて削って作ります。
元々、ジャンベを削る為に木工旋盤を買ったのですが、木工旋盤があれば木の器が作れる事を知ったので器も作りだしました。木の器作りはなかなか難しく、失敗して底に穴を空けてしまうことも多々…でも、ひっくり返したらランプシェードが作れる事を知りました(笑)そうやってレパートリーが増えていっていますね。
料金は器で3,000円位~20,000円位ですね。
小さいモノから30cmを超える大きなモノまで様々で、樹種、木目、自然が作る曲線、制作時間、色々な要素が混ざりあって決めているので、毎回値付けを一番最後まで悩んでますね(笑)
営業時間はイベントスタートから最後までやらせていただきます!
13時から21時迄ですかね?
出来るだけ多くの方に見て、取って、触っていってほしいので。
そうそう、今回は有難い事にライブドリアードのイベントの夜の空間作りの照明として、販売するランプシェードを、点灯させていただける事となりました。
光が透けてシェードに木目が浮かび上がる姿は、本当に綺麗なんです。
夜、沢山の方に見ていただきたいです。
(※日中は店舗で販売。夜に会場照明として使う為、購入された方の受け渡しはイベント終了後となります。ご了承下さい。)

小笠原産ランプシェード

ジャンベのワークショップは僕自身やるのが初めてなので、今からドキドキなんですが、基本の叩き方、西アフリカのギニアの伝統リズムを皆さんに楽しく、伝えたいと思っていますので、是非誰でも気軽にご参加下さい。
1回のワークショップの参加人数は8人、20分~30分を予定しています
これを3セットやりますので、最大24人参加可能ですね。
あー、イメトレ、イメトレ。頑張ります。笑
僕以外にもツリークライミングからコーヒー焙煎まで沢山の体験ブースがあるようなので、絶対楽しいですよね。参加したいです(笑)

小笠原マガジン編集部
木村さんは昨年から島のイベントで器やジャンベを出店されてるそうですね。普段は工房に行けば器やジャンベは購入できるのでしょうか?

また、今後の展開や野望などがあれば教えてください。

木村
去年の誕生日2月8日に開業しまして、軽くアピールですが(笑)
その年の島の夏祭りの盆踊りの時に初出店して、その後はミュージックフェスの時、今回が3回目になります。
有難い事に島の多くの方から購入またはオーダー依頼をいただく機会が増えてきたのですが、今は基本お断りさせてもらっています。
というのも、まだ制作スピードも遅い為、オーダーベースでモノ作りをしてしまうと多くの方に届けにくくなってしまうからです。
今は基盤をしっかり作るために3つの販売方法をまずは目指しています。

  • 1つ目は、島の方と来島者に平等に届けられるように、定期的なイベント出店
  • 2つ目は、どの地域に居ても応援してくれる方に届けられるように、ホームページの制作
  • 3つ目は、島内の店舗への卸販売

ホームページはもう少しで販売開始出来そうで、島内卸販売も年内には少しずつ開始する予定でいます。
現在は、SNSでも発信していて、インスタグラムでは作った作品を全部載せています。
ブログでは日々の工房でのすったもんだを書いていて、フェイスブックページでは作業動画なんかを載せています。
覗いて見てもらえると嬉しいです。

今後の目標は、島の木の美しさを多くの方に届けて、それが少しでも日々の生活の中に温かい灯りを灯してくれること。僕の作品が灯した「あかり」が笑顔を生み、コミュニケーションが生まれてくるようになれたら幸せです。
あと、この島は自然だけが魅力ではありません。
最高に魅力的な人が大勢います。
そういう人達と交流しながら、色んなイベントを作り、島に遊びに来た方達とも積極的に繋がって行きたいですね。
音楽が好きすぎてイベント屋さんになったり、日本酒&料理が好きすぎてお店を出したり、海が好きすぎて、SUPで父島から母島まで渡ったりなど。
上げたらきりがない位面白い人達がいる島です。
あっ、まさに今回のライブドリアードもそんな仲間が集まっています!
ばっちりなまとめになりましたかね(笑)

木村さん縦画
作品縦画

後は少し大きな目標言うと世界とちゃんと肩を並べたいです。
好きな事をして仕事にする事が出来るんだよって事を選択肢の一つとして子供達に伝えていきたいです。
それって決して楽な事ではないし、やらなきゃいけない事も多い。
学校じゃあまり教えてくれないお金の勉強もしなくちゃいけない。
でも今は自分で情報をちゃんと選べば、ちゃんと学べる。
YOUTUBEが仕事になる時代ですから。選択肢だってどんどん増えていく。
とにかく好きな事を仕事にするって事は責任と共に、それ以上にやりがいが生まれるって事が何より素晴らしい事だと伝えていきたいですね。
その為にはまず自分が身を持ってちゃんと証明しなきゃいけない!ので、頑張ります(笑)

未来ある子供達の為にも、皆さん、
太鼓と器KIMURANOKIを末永く応援宜しくお願いします。

こちらの記事で紹介している『ライブドリアード in Ogasawara』イベントは延期となりました

アカギギター

OEDC

小笠原生態系保全に基づく開発委員会

地域資源を利活用することで、産業を多様化させることを目的に設立しました。
メンバーは島内の各産業分野を担う経営者など。 また、生態系保全のための各分野を専門とする有識者がアドバイザーと参加しています。