「日帰りで楽しむ母島(前編)」に続き、
後編では日帰りでも楽しめる母島のさらなるスポットをご紹介します。
母島の歴史を感じるスポット「北村集落」へ

4月でもハイビスカスが咲き誇る南国・母島
母島にはその成り立ちや歴史を感じられるスポットがたくさんあります。その中でも私の記憶に一番残っているのが「北村集落」です。
沖港からグンと北上して約30分。母島の北端に連れて行っていただきました。
母島にはかつて2つの集落があり、その一つがこの北端にあった北村集落。しかし、戦時中の強制疎開により全ての住民が村を離れました。
かつてそこに集落があったとは思えないほど、道の両サイドは深い森。80軒以上の民家が軒を連ね、450人以上が生活していた面影は全くありません。所々に、朽ちた機械の残骸などが残るのみです。
港には桟橋が残っていましたが、ここを漁船が行き交っていたとは説明されなければ思いを馳せることすらしないような、少し寂しい光景です。
ですが、現在ではここを漁船が行き交うことがなくなった為見事な珊瑚礁が形成されていて、絶好のシュノーケリングスポットとして愛されている場所のようです。

北港の桟橋
北村集落で見落としてはならないもう一つのポイントが「北村小学校跡」です。
わずかに校門と階段のみが残るだけで、一歩足を踏み入れればそこはガジュマルの世界。ジブリ映画にでも出てきそうな雰囲気です。
北村集落には戦後になっても人が居つくことなく今に至ります。
75年間人の手が入らないと、自然はあるべき姿に確実に戻りゆくのだなあということを、ひしひしと感じました。

ここに小学校があったとは到底想像できない光景です
母島の昔の生活に思いを馳せる「ロース記念館」
沖港近くに戻り、「ロース記念館」を訪れました。
母島の開墾に尽力したドイツ人開拓者ロルフス氏によって発見されたとするロース石で建てられ、大正時代は砂糖倉庫として使われていた建物が資料館になっています。
昔の母島の住民が実際に使っていた捕鯨道具や農具などが展示されていたり、昔の地図や写真などが展示されていたりするほか、館内では小笠原固有種であるタコノキを用いたタコノ葉細工の体験ができます。

他の離島には見受けられない雰囲気の出で立ち

ロース記念館敷地内に生えていたタコノキ
旅の終わりに「鮫ヶ崎展望台」で絶景を望む
母島のガイドさんにたっぷり3時間ほどご案内いただき、最後は別れて1人「鮫ヶ崎展望台」に行きました。
沖港からも徒歩で行ける、母島でメイン的な展望台です。
「鮫」という名称だからサメが見られる・・・のも間違いではないと思いますが、12〜4月頃のシーズン中には、ザトウクジラの姿を望むことができます。
展望台にはザトウクジラが見せるアクションがイラストで説明されていました。

絶景を望める鮫ヶ崎展望台

ザトウクジラの絶好の観察スポットにもなっています
私の要望で昼食も食べず、連れ回してもらった母島観光。鮫ヶ崎展望台の東屋で、壮大な海を眺めながら父島から持参したおにぎりを食べ、やっと一息つきました。
終わってみればたった4時間半とは思えないほど、濃厚で充実した観光をすることができました。
一人で回っていれば「ふーん」と気にも留めないような動植物や建築物にも、それぞれに歴史があり物語があることを、ガイドさんをお願いしたことでたくさん知ることができました。
本当に隅から隅まで案内していただき、ここには書ききれないスポットもたくさん巡りました。
私の母島旅は日帰りとは思えないほど充実したものになりました。
母島を訪れる際にはぜひとも、ガイドさんをお願いすることをおすすめします。
次回は、泣く泣く断念した乳房山登山や戦跡巡り、石門にも訪れたいです。
母島は日帰りでも楽しめますが、今回のツアーで1日では分からない母島の奥深さを至るところで感じました。
可能ならば宿泊してゆっくり堪能したいと思った島!”僻地好き”の方にもぜひ訪れてほしい「日本一遠い島」母島でした。

島旅ライター
ありこ
離島にハマり、時間を見つけては南の島に足を運ぶ都内在住の会社員。沖縄諸島を中心に50以上の離島を訪れ、最近では無人島へもよく行っている。マリン系雑誌の編集ライターの経験があり、離島に行くと細かいところまでチェックするのがクセ。
写真を撮りまくる傾向がある上に地図に弱いため、島内巡りには時間を要する。他の人があまり行かないマニアックな離島やエリアに行くのが好き。離島では島民や旅人と話している時間が何よりも楽しい。
Instagramはユーザーネーム ariko_marine で検索。離島に特化したブログも運営中。こちらのURLからどうぞ。
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