自然

緊急事態発生!絶滅危惧種【オガサワラカワラヒワ】を救え!

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1月半ばに再び緊急事態宣言が発出されたことで、新型コロナウィルスへの不安感が再び高まっていますね。

そんななか、小笠原では自然界においての緊急事態が発生しました。

オガサワラカワラヒワという小笠原でしか見られない鳥が、絶滅の危機に瀕しているのです。

しかも、けっこうヤバい!

急いで対策を進めないと、いま小笠原に住んでいる私たちの目の前で、この鳥が地球上からいなくなってしまうかもしれないのです!

20年以上島に住んでいる筆者も知らなかったオガサワラカワラヒワ

今回は、彼らを絶滅から守るために立ち上げられたプロジェクトについてご紹介させていただきます。

オガサワラカワラヒワってどんな鳥?

【カワラヒワ】という名前の由来

オガサワラカワラヒワという鳥は小笠原にしかいないのですが

【カワラヒワ】の仲間は内地(本土)でも見られます。


漢字で書くと
【河原鶸】

【ヒワ】は弱い鳥って書くのですねー。

河原で見られるちいさな鳥っていう表現をされています。


また、【ひわ】という表現は【ひわかし】という言葉から引用されているようです。

【ひわかし】とは若々しい・弱々しい・可憐なという意味で、平安時代の書物『栄華物語』の中で、『らうたき声どものひわかく細くうつくしげに』と書かれています。

『弱々しくいじらしい声々が若々しく細くかわいらしげに』という意味になります。

【オガサワラカワラヒワ】の外見

体長は約14cm・・・シャープペンシルくらいの大きさで、

体重は18g・・・なんと、10円玉4つ分!

ほんとうに『ひわかしい』のですね。


オスは黄緑色で、頭部の色が身体に比べて濃いオリーブグリーンとなっています。

ちなみに、日本の伝統色において【鶸(ひわ)色】と表現される【黄緑色】があります。

鶯(うぐいす)色・朱鷺(とき)色など、日本古来の色の表現って鳥や植物の名前が使われていて、風情を感じますね。

メスの色はちょっと地味で、薄茶色です。


先の
日本の伝統色には【鶸茶】と表現されています。

 若鳥は胸元に【縦斑】(じゅうはん)と呼ばれる縦線があり、くちばしが黒いのが特徴です。

【オガサワラカワラヒワ】の生活スタイル

オガサワラカワラヒワ】は、草や木の種子を食べます。

その中でも、背の高い樹がつける種より、草についている種や地面に落ちているものを好んで食べるのです。

ですから、食事の際は集落や農地に現れます。

分類的には【スズメ目】なので、スズメと同じような行動ですね。


オガサワラカワラヒワ】の繁殖場所は現在、母島の南部に点在する【属島】(無人島)と【南硫黄島】のみとなっています。

戦前は小笠原の島々で繁殖が行われていたのですが、現在はこの数か所に限られてしまっているのです。


母島属島~母島南部において行われた調査でわかったことは

4~6月 母島属島で繁殖活動
6~11月 母島南部に渡る(属島に残る個体もあり)
11~3月 不明

冬の間はどこでどう過ごしているのか、まだわかっていません。

オガサワラカワラヒワは、この10年間で急減少!

オガサワラカワラヒワ】は、1993年(平成5年)に環境省の【種の保存法・国内希少動植物種】に指定されました。

これは『国内に生息・生育する野生生物のうち、人為的影響により存続に支障をきたす恐れがある』とされるものです。

そして最新版のレッドリストでは【環境省 レッドリストIA類(CR)】に。

こちらは『ごく近い将来において野生での絶滅の危機が極めて高い』ということです。

絶滅の危機が極めて高い!?

これは大変!!

そこで、島の調査機関が個体数調査を行いました。

【オガサワラカワラヒワ】緊急調査の方法と結果

調査は、【オガサワラカワラヒワ】に足環(あしわ)を付けて個体数を調べました。

母島では目視(双眼鏡などを使って数える)で、母島属島ではセンサーカメラを設置して、見られた成鳥の数を確認します。

結果、母島では『2000年ごろは大きな群れが見られたが、いまは10羽の群れもほとんど見られない』という状況でした。

母島属島に設置したセンサーカメラでも、減少していることを確認。

個体数を推定してみると

2011年に約200個体生息していたと思われる【オガサワラカワラヒワ】は
2020年には約100個体に減少している。

ということが見えてきました。

10年間で約半分に減ってしまったのです!

ちなみに2018年に行われた南硫黄島での調査でも、成鳥の個体数は約100個体とされています。

オガサワラカワラヒワ保全計画始動!

今回の緊急事態を受けて、島の野生動物保護に関わる機関が【オガサワラカワラヒワ】を守るための対策に乗り出しました。

【オガサワラカワラヒワ】が急減少した理由とは?

写真はイメージ

かつて聟(むこ)島や父島に生息していた【オガサワラカワラヒワ】がいなくなってしまった原因は

野生化して増殖したヤギが彼らの食料となる草木を食べつくしてしまったこと
クマネズミが卵を食べてしまっていたこと

の影響が大きいと考えられます。

 また近年の母島属島や母島南部においては、

ネズミが卵を食べてしまう
地面に落ちている種を食べている際にネコに襲われる

ということが大きな原因となっているようです。

【オガサワラカワラヒワ】の減少を食い止めるための対策

2020年12月19日、島の野生生物保護機関や鳥の専門家がオンライン上で母島に集結。

過去の記録や【オガサワラカワラヒワ】が急減少してしまった原因・早急に手を打つための対策についての話し合いが行われ、それらをまとめたワークショップがYouTubeで公開されました。

 オガサワラカワラヒワ】はひわかしい(弱々しい)デリケートな鳥ですから、やさしく扱ってあげなければいけません。

いま生きている鳥たちを大切にしながらその個体数を増やしていくには、たくさんのことを考慮しながら取り組んでいかなければならないのです。

 まずは

母島属島においてのネズミ対策
母島集落でのネコ対策

一方、人間が飼育をして彼らを絶やさないようにする方法として

内地(本土)で近隣種のカワラヒワの飼育を試みる
その方法を【オガサワラカワラヒワ】に施すための施設を作る

そして、私たちにできることは

オガサワラカワラヒワ】に意識を向ける

ということです。

小笠原固有種の鳥【オガサワラカワラヒワ】を絶滅させないために

今回、このプロジェクトを主軸となって行うのは一般社団法人・アイランズケア

母島で6年間・父島で5年間、東京都レンジャーとして活躍してきた川口大朗さんが立ち上げた一般社団法人です。

サポートするのは小笠原自然文化研究所

同じように絶滅の危機に瀕している【アカガシラカラスバト】の個体数を、10年間で約10倍にまで増やしてきたNPO法人です。

また、国立研究開発法人森林総合研究所・主任研究員鳥類学者である川上和人さん、鳥の研究機関である山階鳥類研究所もバックアップ。

こうして鳥の専門家たちが大集結、ちいさな鳥【オガサワラカワラヒワ】の保全に向けての取り組みが始まったのです。

オガサワラカワラヒワを守るために私たちができること

大切な鳥を守るために、その専門家による取り組みはとても重要です。

そして、小笠原大好きな私たちが『このちいさな鳥を救うためになにかしたい!』っていう願いの輪を大きくしていくことも大切だと筆者は思っています。

これから急ピッチで進められていくオガサワラカワラヒワ保全計画

実際の保全事業に手を出すことはできませんが

『がんばって命をつないでね!』っていうたくさんの方々の気持ちを、オガサワラカワラヒワ・保全作業班・研究者のみなさんに伝えていきましょう。

 

一般社団法人・アイランズケアでは、保全活動資金を集めるためのクラウドファンディングや寄付の受付場所を準備中です。

詳細についてはホームページで発表していきますのでぜひチェックしてみてくださいね!

 

たくさんの方々の想いが集まってその波動が大きくなれば、きっと成功すると私は信じています。

マーメイドカフェ

Mermaid Cafe オーナー

あらいたかみ

小笠原の海に魅せられて、1998年より小笠原に移住。
ダイビングインストラクターとしての仕事を引退した後、少女の頃の夢『手作りケーキとおいしいコーヒーの店』を移動販売車で始める。

Instagram:mermaid__cafe
Facebook:Mermaid Cafe(マーメイドカフェ)
Twitter:MermaidCafe2
Youtube:Mermaid Cafe

小笠原の生活を綴ったブログ『マーメイドのひとりごと』公開中
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https://mermaid-chatty.info/