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特別展「トビケラ展~川の小さな芸術家」  2025年1月まで開催中

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特別展「トビケラ展~川の小さな芸術家」

小笠原ビジターセンターでは年に4回の特別展を開催していますが、今回の特別展では、みなさんがよく知っている生きものとは違う、小さくてちょっとマニアックな生き物を紹介しています。来島される方、島に住む私たちもたぶん初めて知ることが多く、新たな探求心がわく展示となりそうです。そんな小さなトビケラが織りなす素晴らしきミクロワールドに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?監修はトビケラ研究の第一人者 伊藤富子氏、著者は島のNPO研究員の佐々木哲朗氏となります。

川虫とは

川虫の御三家を知っていますか?河川にくらす水生昆虫の代表的なもので、トビケラ、カゲロウ、カワゲラの仲間になります。フライフィッシングの疑似餌(フライ、毛鉤)は川虫を模していて、鳥の羽毛などを使って川虫そっくりにできています。なんとなく形は思い浮かびますか?そして小笠原で唯一確認されている川虫が、トビケラの仲間です。トビケラはチョウに近いグループで、成虫は蛾によく似た形をしています。鱗粉はなく細かい毛に覆われているのが特徴で、特にヒメトビケラの仲間はモフモフとした可愛らしい姿をしています。

小笠原のトビケラの進化

小笠原には、オガサワラニンギョウトビケラとオガサワラヒメトビケラ2種の固有トビケラがいることがわかっていました。しかし2023年にオガサワラヒメトビケラ1種だと思っていたものが、実は6種類にも分かれていたと発表されたのです。小笠原にたどり着いた1種が6種へ分化していたのです。小笠原諸島内で固有の植物や固有のカタツムリなどが放散して種分化しているのは知られていたことですが、淡水生物では初めてのことです。

こちらのコーナーでは、種分化したヒメトビケラ種群の適応について紹介しています。石のすき間に特化して独特の形になったムグリヒメトビケラのこと(140倍の模型あり)、本土のヒメトビケラの仲間とは違う、滝に生息するようになったヒメトビケラの形状などについて解説されています。

たどり着いた謎

海にポツンと浮かぶ海洋島の小笠原にどうやって淡水の生きものがたどり着いたのでしょうか?不思議におもいませんか?小笠原諸島の河川にも淡水の魚やエビや貝など生息していますが、ずっと河川で生活しているわけではありません。小さいころは海でくらしているのです。しかしトビケラの仲間は、ずっと河川で生活しています。トビケラがこの島にどうやってたどり着いたか謎です。
・風に飛ばされてやってきた・自力で飛んできた・流木などに乗ってやってきた・鳥などにくっついてやってきたなどいろいろ考えられますが、みなさんにも考えてもらい、シールを貼って投票してもらっています。ぜひ投票をお願いします。

トビケラの魅力「筒巣」

トビケラの仲間の多くは、幼虫のころは水中でくらし「筒巣(つつす)」という円筒形のミノムシのような巣をまとい、身を守っています。筒巣の材料は、川底の石、落ち葉、枝、水草やコケなどです。種や場所によって巣材は様々で、カイコのように糸で巣材をかがりながら筒巣をつくります。

小笠原のトビケラも様々な筒巣をつくります。こちらのコーナーでは父島ならではのボニナイトに含まれる緑色の古銅輝石を巣材にしたキラキラしたオガサワラニンギョウトビケラや、藻類やコケを巣材にしたオガサワラヒメトビケラの仲間の紹介をしています。小さな小さなトビケラたちですが、よくよく見るととんでもなく精巧で美しい筒巣をつくります。ほんとうに川の小さな芸術家ですね。

筒巣コレクション

島外のトビケラの筒巣も紹介しています。監修をされている伊藤氏の標本をお借りして写真展示、標本の展示をしています。筒巣の色合い、組み合わせ、形、どれをとっても芸術です。こんなに素敵なものをつくりあげることにどういう意味があるのか…思いを馳せてしまします。

トビケラに変身

こちらのコーナーでは、トビケラ変身グッズをおいてあります。さまざまな色、形の粒をエプロンにくっつけて自分だけのトビケラに変身できるようになっています。大人用、子ども用と用意してありますので、変身してみてください!

水槽展示

小笠原の川で見られる生物の水槽を展示しています。大きな水槽では川の風景とエビやカニ、貝が見られ、別にした左上の小さな水槽では2種類のトビケラを見ることができます。展示パネルの大きな写真ばかり見てきたので最後に用意した本物のトビケラの小ささにびっくりするかもしれません。

おわりに

トビケラはきれいな川の水質をみる指標となっていて、小笠原でもダムや砂防堰堤など人工化された流域やその下流では、生息できないそうです。干ばつや渇水、集中豪雨などから生き延びてきた川のちいさな芸術家が、いつまでも作品をつくり続けていければいいですね。

小笠原ビジターセンター

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開館日
おがさわら丸・観光船入港中
午前8時30分~午後5時00分まで
*夜間開館日あり
*開館日については下記サイトからご確認ください。
https://www.tokyo-park.or.jp/nature/ogasawara/

問合せ
小笠原ビジターセンター
電話番号:04998-2-3001

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小笠原の情報収集は、小笠原ビジターセンターへお越しください!

https://www.tokyo-park.or.jp/nature/ogasawara/