今回は毎年、小笠原エコツーリズム協議会からの依頼を受けて、ドルフィンスイムやスノーケリングのガイドに向けて安全講習を実施している「ガイドの先生」である平川大輔さんに、海での遊び方についてお話をお聞きしました。
小笠原の海は、なぜこれほどまでに心を動かすのか
観光局(以下、局): 平川さん、小笠原の海の魅力とは、一言で言うとなんでしょうか。
平川氏(以下、平川): ありきたりな言葉ですが、やはり**「ダイナミック」**。これに尽きます。私は、小笠原での安全講習会に10年近く携わらせていただいておりますが、行くたびに「なんてすごい場所なんだ」と圧倒されます。
冬にはザトウクジラが歌い、夏にはミナミハンドウイルカの家族がすぐそばを泳ぐ。そんな場所、世界中を探しても他にありません。
ただ、その小笠原の海の魅力であるダイナミックさは、島民の方々の努力のおかげで、自然がそのままに維持されている事を忘れてはいけないと思っています。海も陸も自然環境を維持するのは大変な事だと思います。
そのダイナミックで最高のフィールドを安全に満喫していただくためのポイントを、今日はお伝えできればと思います。
スノーケリングとは何か? 自分を守る「装備」の重要性
局:そもそも「スノーケリング」とはどういうものか?初心者に向けて教えてください。
平川: スノーケリングとは、手軽に水中の世界をのぞき、四季折々の水中シーンを楽しめるスポーツです。スクーバダイビングのように重い器材を背負わず、水面に浮かびながら魚たちの営みや水底の様子を観察する事ができるのが最大の魅力です。
装備の基本は「マスク・スノーケル・フィン」の3点セットです。そして、絶対に忘れてはならないのが「ライフジャケットやウエットスーツ」などの浮力体。これらを着用する事で、手足を使わなくても水面に浮かぶ事が可能になります。
また、フィンの素足での着用は、なるべく避けてほしいと考えます。オコゼなど有毒な生物を踏んでしまうリスクや、岩やサンゴによる外傷を防ぐため、マリンブーツやダイビングブーツ、グローブ(手の保護のため・軍手でも可)の着用を推奨しています。「安全に楽しむための装備」を整えて、海に入ってほしいですね。
※本写真はイメージです。小笠原で撮影されたものではありません。
世界自然遺産の海を安全に楽しむための「現地ガイド」
局: 小笠原でスノーケリングをする際、特有の注意点はありますか?
平川: 「東京」ではありますが、小笠原は、簡単に行き来出来ない場所(島)であり、すぐに高度な医療を受けるのは難しいという認識が必要です。だから、ケガや体調管理にはじゅうぶん気を付けて、小笠原を満喫してほしいですね。
例えば、スノーケリングポイントで人気の「キャベツビーチ」は非常に美しい景観が楽しめるところですが、地形的に水面の流れが変化しやすいポイントでもあります。
局: 楽しさとリスクが背中合わせなのですね。
平川: そうです。だからこそ、初めて小笠原を訪れる方には、迷わず**「現地のプロが率いるツアー」**への参加を強くおすすめします。
現地ガイドは、潮流や海のコンディション(海況)を熟知した「最強のパートナー」です。ドルフィンスイムのツアーに参加しても、初心者の方をいきなり沖で泳がせることはありません。まずは足のつく浅瀬で練習し、皆さんの技術の習得を確認してから沖合へ出発します。
小笠原の海を知っているプロと一緒に海に入る事で、安全性はもちろん、ガイドの知識から得られる情報によって体験の質と安全性が圧倒的に高まります。
局:現地ガイドがいれば、島のルールも守られるので安心ですね。安全に楽しく、そして小笠原の自然を守るためにもガイドが必要ということですね。
教育旅行の扉を開く「事前学習」というお守り
局: 平川さん、少し驚いたのですが…
修学旅行で小笠原を訪れた生徒たちが、海に入らずに帰ってしまうケースがあるって本当ですか?
平川: そうなんです。それは非常にもったいないことです。
局: 学校側も生徒の安全を預かる責任がありますから、慎重になるのは分かりますが……。
平川:「危険、危ない」が一人歩きになってしまっているように思います。正しい知識と技術があれば、誰にでも安全に簡単に楽しめるのですが。
だからこそ、**小笠原に来る前の「事前学習」**を提案したいのです。
局:日本スノーケリング連盟では、そうした教育機関へのサポートも行っているんですよね。
平川: はい、スノーケリング事前学習プログラムを提供しています。
日本スノーケリング連盟では、講習会や器材レンタルを行っています。まず、ウエットスーツを着たことがない子は浮くことを知らないですよね。最初にやってもらうのは、「ウエットスーツを着たらどうなるか」というのを体験してもらうことです。スーツの着用方法からはじまって、仰向けに浮いてもらいます。ウエットスーツには3つの特徴、浮力・保護・保温があり、みんなが一番びっくりするのは「浮力」なんですよね。
また、スノーケリングでは、マスクのストラップがねじれていたり、前髪が挟まっていたりという「小さな不備・確認不足」がパニックの引き金になります。こうした「ヒヤリ・ハット」を未然に防ぐための指導も私たちは実施しています。
このようなステップを踏むだけで、海は「危ない場所」から「最高の学び舎(まなびや)」に変わります。
※写真はスノーケリングインストラクター資格認定講習会の様子
局: 事前学習という「お守り」を持って、小笠原へ来てほしいですね。
平川:そう。小笠原の海は、みなさんの価値観を変える力を持っています。海に入れてあげたいけど、スノーケリングは難しいと思われている学校関係者の方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、生徒さんの安全と一生の感動を全力でサポートします。
局:小笠原の海は多くの人を魅了していますが、それは「地域の保全努力」に支えられている。やはり「世界自然遺産」のダイナミズムを遊び尽くすにはそれなりの作法が必要だと感じました。安全に楽しむには「事前準備」と「現地ガイド」が鍵になるということですね。
平川さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
書いた人の他の記事
- 共生
- ビジターセンター
- 固有種
- 母島
- 父島
関連記事
array(1) { [0]=> object(WP_Term)#9580 (11) { ["term_id"]=> int(31) ["name"]=> string(6) "観光" ["slug"]=> string(11) "sightseeing" ["term_group"]=> int(0) ["term_taxonomy_id"]=> int(31) ["taxonomy"]=> string(12) "archive_cate" ["description"]=> string(0) "" ["parent"]=> int(0) ["count"]=> int(82) ["filter"]=> string(3) "raw" ["term_order"]=> string(1) "9" } } 観光 - 2026.3.11
小笠原DAY vol.11連動企画 “小笠原あるある”結果発表!!
- 共生
- ビジターセンター
- 固有種
- 母島
- 父島
array(1) { [0]=> object(WP_Term)#9563 (11) { ["term_id"]=> int(31) ["name"]=> string(6) "観光" ["slug"]=> string(11) "sightseeing" ["term_group"]=> int(0) ["term_taxonomy_id"]=> int(31) ["taxonomy"]=> string(12) "archive_cate" ["description"]=> string(0) "" ["parent"]=> int(0) ["count"]=> int(82) ["filter"]=> string(3) "raw" ["term_order"]=> string(1) "9" } } 観光 - 2026.2.24
小笠原の海を安全に遊び尽くすための “極意” ~「世界自然遺産」の海を、一生の思い出に~
- 共生
- ビジターセンター
- 固有種
- 母島
- 父島
array(1) { [0]=> object(WP_Term)#9582 (11) { ["term_id"]=> int(31) ["name"]=> string(6) "観光" ["slug"]=> string(11) "sightseeing" ["term_group"]=> int(0) ["term_taxonomy_id"]=> int(31) ["taxonomy"]=> string(12) "archive_cate" ["description"]=> string(0) "" ["parent"]=> int(0) ["count"]=> int(82) ["filter"]=> string(3) "raw" ["term_order"]=> string(1) "9" } } 観光 - 2025.12.4
秋季特別展「西之島展~調査で見えてきたこと~」
- 共生
- ビジターセンター
- 固有種
- 母島
- 父島
array(1) { [0]=> object(WP_Term)#9565 (11) { ["term_id"]=> int(31) ["name"]=> string(6) "観光" ["slug"]=> string(11) "sightseeing" ["term_group"]=> int(0) ["term_taxonomy_id"]=> int(31) ["taxonomy"]=> string(12) "archive_cate" ["description"]=> string(0) "" ["parent"]=> int(0) ["count"]=> int(82) ["filter"]=> string(3) "raw" ["term_order"]=> string(1) "9" } } 観光 - 2025.11.11
年間展示 「ジョン万次郎展」万次郎と小笠原の関わり
- 共生
- ビジターセンター
- 固有種
- 母島
- 父島




