教育旅行

小笠原村教育旅行インタビュー  竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校

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小笠原村には、毎年さまざまな学校が教育旅行として訪れます。
本インタビューは、そうした学校の先生方にお話を伺い、小笠原という場所でどのような学びが生まれているのかを、実践の視点から紹介しています。

今回お話を伺ったのは、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校として、約12年にわたりフィールドワーク型の学びを継続してきた竜ヶ崎第一高等学校の出雲先生です。同校では、その取り組みの一環として小笠原を訪れる教育旅行を実施しており、これまでに4回の渡航実績があります。

対象は中学3年生と高校1年生。例年、異学年交流のツアーとして生徒16名と引率教員2名の計18名で現地に滞在し、事前学習から現地調査、帰校後の成果報告までを一連の学習プロセスとして設計してきました。
単なる自然体験にとどまらず「1人1テーマ」を掲げた探究活動として組み込まれている点が、この教育旅行の大きな特徴です。

本記事では、出雲先生が小笠原を教育旅行先として選んだ背景、実施前に感じていた不安、現地で得られた生徒の変化、そして学校・保護者からの反響までを、実体験をもとに振り返っていただきました。

小笠原村教育旅行インタビュー|竜ケ崎第一高等学校・附属中学校

小笠原村教育旅行|竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校

教育旅行先として選ばれた背景を教えてください

出雲先生:もともと本校では、SSHの取り組みとしてフィールドワークを重視してきました。生徒を実際の現場に連れていくと、教室では得られない成長がある。その手応えを私自身が強く感じていたからです。

最初は海外研修や、比較的アクセスしやすい国内のフィールドも含め、さまざまな場所を検討・実施してきました。
ただ、次第に「本校ならではのオリジナルなフィールドを持ちたい」という思いが強くなったことを覚えています。

そうした中で、小笠原の教育旅行向けパンフレットや説明会に触れ、興味を持ちました。まず実際に、自身が自費で現地を訪れ、自分の目で環境や受け入れ体制を確認したことが、最初のきっかけです。

実際に小笠原を選ぶ決め手となった点は何でしたか

出雲先生:大きく分けて、3つあります。

1つ目は、自然体験の質と幅です。
海・森・星空という3つのフィールドを、いずれも高いレベルで体験できる場所は、意外と多くありません。しかも、それらが単に揃っているだけでなく、環境学習や探究活動につなげられる深さを持っている小笠原の独特な点に魅力を感じました。

2つ目は、人の関わりです。
島を離れる際の見送りの場面をはじめ、島の方々の関わり方には強く心を動かされました。生徒がこの体験をすれば、自然だけでなく「人との関係性」も含めて学びを持ち帰れると感じました。

3つ目は、いわゆる「チーム小笠原」の存在です。
行政、観光、旅行会社、現地ガイドが官民一体となって教育旅行を支えている体制は、他ではあまり見られません。教育的な意図を理解したうえで受け入れてもらえる安心感がありました。

小笠原村教育旅行インタビュー|竜ケ崎第一高等学校・附属中学校

小笠原村教育旅行|竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校

実施前に不安や懸念はありましたか

出雲先生:正直に言えば、ありました。
まずはアクセスです。長時間の船移動による船酔いや体調面は、どうしても気になる点でした。また、現地では野外フィールドワークが中心になるため、天候や体調不良時の代替プログラム、そして医療体制についてです。

しかし、事前学習の段階から体調管理や行程の説明を丁寧に行い、現地とも綿密に連携することで、これまで4回の渡航はいずれも大きなトラブルなく実施できています。
結果として「想定していたリスクに、どう向き合うか」を事前に整理しておくことの重要性を再確認しました。

フィールドワークで特に印象に残っている体験はありますか

出雲先生:やはり、生徒の反応です。
小笠原の絶景を前にしたとき、説明をしなくても自然と声が上がる。
海の色、森の空気、夜空に広がる天の川。
どのフィールドでも生徒が「感じている瞬間」がはっきりと伝わってきました。

私自身も何度か訪れていますが、生徒と一緒に体験することで毎回新しい気づきがあります。知識として理解する以前に、心に焼きつく体験がある。そのことが、その後の学びの姿勢を変えていくのだと感じました。

小笠原村教育旅行インタビュー|竜ケ崎第一高等学校・附属中学校

小笠原村教育旅行|竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校

帰校後、生徒にはどのような変化が見られましたか

出雲先生:生徒の感想で印象的だったのは「当たり前だと思っていた日常を見直した」という声です。
小笠原の島内における物流や生活インフラを自分の目で見たことで、日常のありがたさを実感した生徒が多くいました。

また「学ぶことが楽しくなった」「進路について真剣に考えるようになった」
という声も多く聞かれました。理系の探究テーマを深めた生徒だけでなく、小笠原の自然保護を支える制度や法律に関心を持ち、文系進路を選択した生徒もいます。自然体験が、そのまま進路観の広がりにつながった点は、予想以上の成果でした。

現地の受け入れ体制について、印象的だったことはありますか

出雲先生:事前学習から現地ガイドが関わってくださる点です。

生徒が設定したテーマを共有すると教育旅行前にオンラインで助言をいただき、
現地ではそのテーマに即した資料や観察ポイントを用意してくださいました。

短期間の滞在であっても、学びが途切れないよう設計されていると感じました。
また、生徒の体調や状況を見ながら柔軟に行程を調整してくださる点も、大きな安心材料でした。

学びを「体験」で終わらせないための設計

竜ヶ崎第一高等学校の小笠原教育旅行が4年にわたり継続されている背景には、事前学習から現地、帰校後までを一つの学習プロセスとして捉え、丁寧に設計してきた積み重ねがあったようです。

自然体験や現地交流を単発の出来事として終わらせず
「一人ひとりがテーマを持ち、考え、言葉にして持ち帰る」流れを組み込んできたことが、
学びの深さにつながったと出雲先生はおっしゃっていました。

その結果として、生徒の満足度アンケートでは4年連続でポジティブ回答100%を記録し、進路選択や学習意欲の変化といった形で、学校生活全体にも影響が表れたそうです。また、保護者や校内からも継続を後押しする声が寄せられ、教育旅行としての取り組みが学校に定着されたようです。

小笠原村教育旅行インタビュー|竜ケ崎第一高等学校・附属中学校

小笠原村教育旅行|竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校

小笠原村を教育旅行として検討する先生方へ

出雲先生:正直なところ、教育旅行の形は学校ごとに違っていて、これが正解だと言えるものはないと思っています。

生徒の人数も違えば、学年構成や学校として大切にしていることも、それぞれ異なります。ただ、もし「生徒にどんな学びを残したいのか」というところから考え始めるのであれば、小笠原というフィールドは、その問いに向き合うだけの要素を持っている場所だと感じています。

自然環境そのものだけでなく人との関わりや、限られた環境の中で成り立っている暮らしなど生徒が自分で考えるきっかけが、あちこちにあります。

事前にどこまで準備するのか、現地で何を大切にするのか、帰ってきてからどう学びにつなげるのか。毎年少しずつ試しながら、今の形になってきました。

ページ運営者

小笠原村観光局

小笠原村観光局は浜松町に事務所を置き、旅行会社・メディア対応、イベント実施などにより小笠原観光の活性化・マーケティング活動を行っています。

https://www.visitogasawara.com