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春季特別展「ザトウクジラ展 旅するクジラに会いに行こう」

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春季特別展「ザトウクジラ展」~旅するクジラに会いに行こう~

今年も訪れた小笠原のザトウクジラシーズン。島を訪れる方々にザトウクジラ達をより深く知っていただくため、小笠原ビジターセンターでは今シーズンもザトウクジラ展を開催しています。今年のテーマは「旅するクジラに会いに行こう」。ザトウクジラは北半球、南半球単位での回遊を行う大型の鯨類ですが、そのような大規模な旅をなぜするようになったのか・・・そんなクジラ達の祖先の進化の旅に触れる展示の他、ザトウクジラの生態や最新の調査報告などの展示も充実していますのでお気軽にお立ち寄りください!

ザトウクジラってどんなクジラ?

小笠原の冬から春にかけて、島の海を賑わせてくれるザトウクジラ。大人は11メートルから14メートル、最大で17メートルほどになることもある大型のヒゲクジラの仲間です。例年12月の後半から少しずつ島の近くで見られ始め、その数が一番多くなるのが2月中旬から3月初め頃。その後少しずつ島の周辺で見られる数が減っていき、例年GW頃には殆どのクジラが北の海へエサを求めて旅に出て小笠原では見られなくなります。小笠原はザトウクジラにとっての繁殖と子育ての為の海域で、ここでは大人のクジラだけではなく、母と子、メスをめぐって争うオスの群れなど、いろいろな組み合わせのザトウクジラ達を見ることが出来ます。また非常にアクロバティックな行動を見せてくれるクジラでもあることから、このザトウクジラを対象としたホエールウォッチングも人気です。

 

 

ザトウクジラの魅力の一つは何といってもやはりその大きさ。ビジターセンターのクジラ展では毎年展示スぺ―ス内に実物大のザトウクジラの巨大なパネルを展示しており、その大きさを体感していただけます。

また、展示内ではザトウクジラの体の特徴も紹介しています。実際に海に出てクジラの姿を間近に感じても大きな感動を覚えますが、海に出る前に体の特徴などを知っておくとよりウォッチングが楽しくなります。頻繁に見られるブロー(潮吹き)や深く潜る際に見られる大きな尾ビレ、また時おり水面に持ち上げることもある長い胸ビレなど、ザトウクジラの特徴的なフォルムやその行動を知っておくと、海に出たときにクジラがどういう姿で泳いでいるのか想像しやすくなりますよ。

旅するクジラに会いに行こう

今回のザトウクジラ展のメインテーマは「旅するクジラに会いに行こう」。
ザトウクジラは、1年の中で採食をする高緯度海域(北半球ではロシアからアラスカにかけての北の海など)と繁殖活動をする低緯度海域(北半球では小笠原や沖縄、ハワイなど)を行き来する“回遊”をするクジラです。片道数千キロにも及ぶ旅をして、食料の多い海域と子育てに適した海域を行き来するこのザトウクジラをはじめ、回遊をする大型の鯨類達にとってその長い旅の間にはきっと様々な危険もあると考えられますが、今回は彼らが進化の過程で始めたその旅のきっかけについても迫っていきます。

クジラの祖先はもともと陸上から水辺へと進出した4足歩行の哺乳類で、現在ではカバと近い祖先をもつと考えられています(鯨偶蹄類)。私達が知るクジラ達とはおおきく姿が違うこうした哺乳類が現在のクジラの祖先ということも驚きですが、もともと浅い水辺で生活していた哺乳類が、やがて水の中だけで生活ができるような体を手に入れ、果てはその場にとどまらず大海原に出て地球規模での回遊という旅をするようになった・・・
今回の展示で触れているのは、クジラの祖先が辿ってきた壮大な進化の旅物語の中でも、特にその大型鯨類の地球規模での回遊の始まりについてです。

大型鯨類の回遊という大規模な旅のきっかけになったのは、地球規模で起こった海における環境の変化でした。クジラの祖先が水辺に進出した頃も含め、地球では大きな大陸の移動やそれに伴う海流の変化が起こります。この変化は海という環境に変化=海域による海水温の低下や栄養の不均衡=をもたらしました。それまで南極も北極も温暖で均一だった海に生じた変化は、その後のクジラの採餌や繁殖にも影響していきます。逆に言うとクジラの祖先はその海の環境の変化に見事に適応し、その後世界中の海に広がることに成功したといえるでしょう。

進化の不思議

6500万年前の恐竜の絶滅以降、哺乳類が様々な環境へ進出を始めます。その適応放散は陸上だけではなく、魚竜や首長竜がいなくなった海にも餌場と生活の場を求めて哺乳類の一部が広がっていきました。その中にいたのが現在のクジラの祖先。もともと四足歩行をしていた陸上の哺乳類が、姿形を変えながら次第に水辺へ、そしてやがて海中へ適応していったのです。

その6500万年という途方もない時間に刻まれたクジラの進化の歴史。そのすべてを知るのは難しいですが、彼らがどのように海という環境に適応し、その後世界中の海に広がっていったのかという壮大な物語を是非この機会に想像してみてください。

もちろん最新情報も

小笠原では小笠原ホエールウォッチング協会(OWA)や小笠原海洋センター(ELNA)が中心となって行っているザトウクジラの調査にて得られた新しい情報も展示しています。そのひとつが2022年~2023年シーズンに小笠原で確認されたザトウクジラのうち2頭が三宅島でも確認されたという情報。三宅島では2018年以降ザトウクジラの来遊が確認されるようになっていましたが、小笠原-三宅島間での同一シーズン内での同一個体の確認はこれが初めて。この個体がどのように両海域を利用しているのかなど、今後の継続的な調査が望まれます。

また2024年7月に父島の製氷海岸でのストランディング(漂着)が確認された当時種不明だった鯨類が小笠原での初確認となる「オガワコマッコウ」であることが判明しました!

小笠原ビジターセンターでは「オガワコマッコウ」を新たに記載した小笠原の鯨類クリアファイルも販売中です。(¥300-/1枚)

 

 

おわりに

私達がクジラを自分の目で見て感じることができるのは、海に棲む彼らが水面行動で海面に出てくるほんの短い時間だけ。例えば1日ツアーに出ていたとしても実際にクジラを見ている時間はそれほど長くありません。それでも彼らは見る者の心をグッと掴んで離さない、そんな魅力に満ちた生き物です。毎年その姿を小笠原の島々の近くで見せてくれるザトウクジラも、その大きさやフォルム、アクロバティックな行動や繁殖期の母子の仲睦まじい姿など、何度見ても飽くことのない姿を見せてくれます。そんなクジラ達の姿をただただ眺める時間も本当に贅沢な時間ですが、彼らの生態や進化の歴史についてより深く知ることでホエールウォッチングがより楽しくなるはずです。是非、小笠原でのホエールウォッチングの前でも後でも、ビジターセンターを訪れてザトウクジラについてより理解を深めていただければ幸いです。皆様のご来館をお待ちいたしております。

小笠原ビジターセンター

開館日
おがさわら丸・観光船入港中
午前8時30分~午後5時00分まで
*夜間開館日あり
*開館日については下記サイトからご確認ください。
https://www.tokyo-park.or.jp/nature/ogasawara/

問合せ
小笠原ビジターセンター 電話番号:04998-2-3001
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小笠原の情報収集は、小笠原ビジターセンターへお越しください!

https://www.tokyo-park.or.jp/nature/ogasawara/