「ジョン万次郎展」万次郎と小笠原の関わり
ジョン万次郎という名前を聞いた事はあるけれど、どんな人?と思っている方が多いと思います。
実は小笠原には4度も来て、幕末には島の開拓などにも携わった人なのです。
そこで小笠原ビジターセンターでは、万次郎の生い立ちから晩年までを項目に分け、彼を取り巻く人々の紹介等を、パネルや模型を使って展示しています。
①鳥島に流されサバイバル
土佐の「中浜(なかのはま)」で生まれた万次郎は、14歳で初めて漁に出ます。
しかし強風に合い漂流し、さらには黒潮に乗り伊豆諸島の鳥島沖まで流され、命からがら何とか鳥島に漂着します。季節は1月でしたが、運が良い事にこの時期はアホウドリが繁殖で飛来しており、卵などを食べて生き延びました。
展示している鳥島漂着船表は、かつて鳥島に漂着した人々の人数や在島期間を記していますが、万次郎たち以前に19年も生き延びた人がいたことに驚きです。
②船長との出会い そして小笠原へ
万次郎ら5人は4ヶ月ほど鳥島で生活し、アメリカの捕鯨船「ジョン・ハウランド号」に助けられます。
当時のアメリカ式捕鯨は、マッコウクジラを捕って油だけを採取するものでした。石油が発見される前までは、鯨油を機械油やランプに使っていたのです。
捕鯨を続けながら太平洋を航海し、当時捕鯨船の基地だったハワイに寄って仲間と別れ、そして小笠原(当時はボニンアイランドと呼ばれていた)へ寄港します。この時万次郎は15歳でした。
その後、アメリカの帰港地ニューベッドフォードに行き、捕鯨船のホイットフィールド船長の家での生活がはじまりました。
③アメリカ式捕鯨と生活
アメリカのフェアヘイブンで勉学に励み、19歳の時に捕鯨船フランクリン号で捕鯨航海に出ます。20歳になった万次郎は父島に10日間寄港し、最初の開拓者であるセーボレーと会いハワイにも寄り、仲間と再会します。
ここでは、当時のアメリカ式捕鯨の様子を、写真や模型で紹介しています。
万次郎は故郷の土佐に帰るため、23歳の時にカリフォルニアの金山で金を掘って資金を集め、その資金でハワイから中国へ行く船に乗り、途中琉球で小舟を下ろして今の沖縄本島の摩文仁に上陸しました。
当時、琉球は薩摩藩が統治していたので厳しい取り調べを受けました。万次郎は薩摩藩の殿様に気に入られ、洋式帆船の雛形を作り、航海術などを教示しました。その後、長崎での取り調べを終えて漂流から11年目にして土佐に帰り、25歳で母と再会することができました。
ホイットフィールド船長の家の写真も展示しています。
④咸臨丸で小笠原へ
万次郎は26歳で土佐藩に登用され武士となりました。1860年、33歳になった万次郎は、日米修好通商条約の推准書を交換するために使節団の通訳として、船長である勝海舟を始め、福沢諭吉らとともに幕府の軍艦「咸臨丸」に乗ります。
この時、勝海舟や他の役人達は船酔いがひどく、万次郎が代わって指揮をとりサンフランシスコに到着したそうです。
アメリカから帰ってきた翌年、長年放置されていた無人島の日本領土帰属問題を解決するために、幕府がようやく水野忠徳を隊長とし小笠原開拓団を派遣しました。そして、万次郎はこの時も通訳として15年ぶりに会うセーボレーらと交渉し、日本領土であることや先住民を保護すること、田畑所有の保証を与えて共に開拓することを呼びかけ、同意を得ました。
当時この島には日本人ではなく、5名の欧米人を含む約25人がハワイからやって来て定住していました。そこで幕府の役人たちは石碑を建て、島内の探検調査や測量を行い、各地を回りながら地名も付けていきました。
その調査風景の絵(小笠原島真景圖)も展示しています。
⑤翌年 小笠原で初の捕鯨
咸臨丸で小笠原から帰った万次郎は、幕府に西洋式帆船の「壹番丸」という船を作らせ、日本初のアメリカ式捕鯨を行いました。小笠原では積んできた木材で捕鯨ボートを2隻作り、父島在島の外国人6人を雇って2頭のマッコウクジラを漁獲しました。島に滞在中、ホーツン事件という強盗未遂事件が起こり、万次郎が事件を起こした2人に手錠をかけて浦賀の横浜米国領事館に連行しました。また、捕鯨の航海の途中でかつて漂流した島に寄り、鳥島と命名したという説もあるそうです。
⑥晩年の万次郎
万次郎37歳からは薩摩藩や土佐藩で、航海・測量・造船・英語などの総合学校の教授となり、さらに明治新政府の開成学校(後の東京帝国大学)の教授に任命されます。
ここでは、この当時に出版してベストセラーになった「英米対話捷径」の内容を展示しています。
また43歳の時には普仏戦争視察団に随行し、アメリカを経由したおりにホイットフィールド船長と再会します。さらに61歳の時、小笠原近海へ5度目の航海に出発しており、当時の捕鯨航路が残されています。
そして、71歳で逝去しました。
⑦ペリーと小笠原
1853年6月14日 アメリカ海軍マシュー・ペリー提督が、黒船「サスケハナ」帆走船「サラトガ」で二見港に入港しました。ペリーは、蒸気船で太平洋を横断して中国の上海へ行く場合、小笠原を中継基地とすれば航海日数を短縮出来ると考えていました。そこで、セーボレーから石炭貯蔵用地を購入し、ピール島(父島)植民地規約を定めました。
4日間父島に滞在した様子は「ペリー艦隊日本遠征記」に記録されています。
そして、7月に黒船4隻を率いて浦賀に入港し、幕府に開国を迫る事になります。万次郎はこの通訳に適任とされていたのですが、水戸藩主の徳川斉昭らからスパイ容疑をかけられ、通訳から外されて非常に悔しがったそうです。
しかし幕府としても万次郎を必要と思い、陰ながら助言や進言をしていたそうです。
小笠原ビジターセンターでは、黒船「サスケハナ」の1/150の模型を展示しています。
⑧土佐清水に行ってきました
小笠原ビジターセンターの解説員が2023年に万次郎の出身地である高知県土佐清水市に行き、ゆかりの地を巡りました。当地の情報、交通機関、グルメ等も紹介しています。
⑨都内ゆかりの地にも行ってきました
また、都内に残る万次郎ゆかりの地のうなぎ屋、墓地にも足を運びました。
幕府の役人になってからの万次郎のエピソードと共に、解説員が実際に撮った写真を展示しています。
⑩子孫の方々が父島に来島
2022年11月7〜10日 ジョン万次郎、マシュー・ペリー提督、ホイットフィールド船長の子孫の方々が来島し、セーボレーの子孫の方々と交流会や講演会を開催しました。その時の様子と、当時の新聞記事を交えながら展示しています。
おわりに
波瀾万丈な人生を送った万次郎と小笠原の歴史の展示を、ここ父島でご覧になりませんか?
ジョン万次郎の展示は小笠原ビジターセンターで、2026年3月末まで展示しています。
皆様のご来館をお待ちしております。
小笠原ビジターセンター
開館日
おがさわら丸・観光船入港中
午前8時30分~午後5時00分まで
*夜間開館日あり
*開館日については下記サイトからご確認ください。
https://www.tokyo-park.or.jp/nature/ogasawara/
問合せ
小笠原ビジターセンター 電話番号:04998-2-3001
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