観光

観光局職員が小笠原旅行の実態を調査してみた

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おがさわら丸

おがさわら丸

小笠原への出張帰りに、ふと「小笠原旅行に来ている人たちはどうやって旅を楽しんでいるのかな?」

そんな思い付きから帰りのおがさわら丸で取材(勝手に)をしてきました。

楽しんでいる人に声を掛けてみる

おがさわら丸 外部デッキ

帰りのおがさわら丸(以降:おが丸)での光景

とても楽しそうに宴会をしている方がいたので、島レモンチューハイを片手に声を掛けてみました。

私「ここはどういった集まりなんですか?」

「どういった・・・?と言われると・・・なんていうんだ?笑」

「ひと言では言えないな」

私「じっくりお話し聞かせてください!」

ここから宴会に参加させてもらうことになりました。

何仲間か探る

「僕とこの子が宿が一緒で

こことここが海のツアーが一緒だったんだよね

で、ここが繋がって・・・

で、いつの間にかこんな感じになってたんだよね~!」

私「え、元々友達同士の人はどれくらいいるんですか?」

「元々友だちだった人はいないかな」

「全員一人旅だもんね」

私「え?この13人がそれぞれ?」

「そう、島で会って仲良くなったんだよ」

小笠原は一人旅が多い?

小笠原と他の地域との違い

 

 

1week

船でしか行けないこと。

その定期船「おがさわら丸」はほぼ1週間に1便しか運航していないこと。

24時間

「東京」から24時間かけて行く「東京」

 

そして、父島の二見港に到着するまで24時間かかること。

 

この一見ハードルに見えてしまう2つが、実は小笠原旅行が充実したものになる大切な要因だったりします。

”知らない人”が”友達”に

同じ便のおが丸に乗った”知らない人たち”の多くは、現地で3泊4日を過ごし帰りも同じ便のおが丸に乗って帰ってきます。

”仲間”になって。

往きの船で見かけた人が、同じツアーに参加していたり、宿が同じだったり、居酒屋で隣の席になったり・・・知らぬ間に生まれる連帯感。

「あ、またお会いしましたね。」

そんな会話から仲良くなっていきます。

帰りは一人じゃない

見送り

おが丸が二見港を出港するときには、島民が感動的なお見送りをしてくれます。

小笠原太鼓でのお見送り

港での島民総出のお見送り

そして、見送り船団

 

 

見送り船団

小笠原の別れのあいさつは“さようなら”ではなくて“いってらっしゃい”

いってらっしゃい!”

”またこいよ”

そして

”いってきます”

”また来るね”

”ありがとう”

いろんなところから聞こえてきます。

こんなに感動的な別れが体験できるのは小笠原だけ。

まさか?2回目の見送り

見送りの船団ともお別れをし、大海原を航海していると

「ん?あれなんだ??」

「どれどれ?」

 

何かを見つけた

水面に時折見える水しぶきをよーく見ると

 

イルカだ!

カツオドリと一緒にイルカの群れがおが丸に併走していました。

こんな発見ができるのも帰りのおが丸ならでは。

往きのおが丸では目が2つしかなかったのに、今では10も20もあるのでいろんなことに気付くことができます。

そして雲から架かる虹も。

「いやぁ今回のおが丸は最高だね~!」

私「いつもと違うんですか?」

「全然揺れないし、イルカが見れることは今までなかったなぁ~」

「今日はイルカも虹も見れたし、出港してすぐにはウミガメも2頭くらい泳いでたよー」

私「えー!その時教えてほしかった!笑」

 

いつの間にか辺りがオレンジになっていきます。

昼から夜へ

幻想的な世界が広がります。

みんなで見る最後の夕日とカツオドリ

「ほんとに今日のおが丸は最高ですね。」

「そうだねー!この便じゃなきゃみんなと出会えなかったし!」

「みんなこの便に乗ってくれてありがとう!」

「今日のおが丸にかんぱーい!」

 

濃く深い青い海を見れたこと。

イルカと一緒に泳げたこと。

ウミガメの産卵を見れたこと。

南島に上陸したこと。

珊瑚の海を泳いだこと。

原付で島を巡ったこと。

亜熱帯の森を歩いたこと

ハートロックの頂上に立ったこと。

そして、島民の見送り船に泣かされたこと。

この数日で経験したたくさんのことに

何度も乾杯をします。

まだまだ終わらない旅

乾杯がたぶん20回を超えたころ

 

船上で眺める星空

おが丸を包む前も後ろも右も左もそして上も

たくさんの星に包まれていました。

天の川がくっきり

「うわぁ……。」

自然に声が漏れてしまいます。

「あ、流れ星!」

「星が多すぎてどれが星座かわからないなぁ」

「あれは天の川...だよね?」

なんとも言えない充実した時間が流れ、夜が更けていきます。

旅の終わりが近づく

往きのおが丸では退屈しのぎをどうしようか悩んでいたことが嘘のように、帰りのおが丸では本当にあっという間に夜になって、そして朝がきます。

おがさわら丸の周りを飛ぶカツオドリ

夜が明ける頃には、島の周りにあんなにいたカツオドリはもう居ません。

旅の最初に見た景色が近づく

最後のお昼ご飯を食べて、少しすると大きな人工物に囲まれてきます。

「あぁー終わっちゃう。」

「あっと言う間だったなー!」

「東京湾の海の色、茶色!笑」

 

そして到着

船旅の始まりと終わりの場所・竹芝桟橋

「いやー!本当に楽しかった!」

「一生に一度小笠原!って思っていたけど、すでにまた行きたい!笑」

「こんなに友達ができるなんて思わなかったよ!」

「最高の旅だった。」

「皆で写真撮ろうよ!」

また島でね!

まさか6日前に出会った人達には見えません。

別れを惜しみつつ、それぞれ北海道、千葉、東京、静岡、大阪、滋賀、岡山、そしてスイスへ帰っていきます。

竹芝での別れのあいさつは”また島でねー!”

偶然も起こってしまえば運命?

365日のうちに65回しか出ていない船に乗るために、

船のスケジュールに合わせて6日間の休みを取って、

一人旅をしよう。

こんなことを思うのもたぶん世間一般からしたら少数派なのに、

さらに同じタイミングで実行してしまうなんて、

きっと最初から何か繋がっていたのだと。

思わずにはいられませんでした。

小笠原の魅力

小笠原旅行にはたくさんの出会いがあります。

見たことのない景色との出会い。

島民ガイドとの出会い。

たくさんのニンゲン以外の動物との出会い。

そして、同じ旅行者との出会い。

その出会いはたくさんの気づきと感情をくれます。

”どこまでも青く深く透き通った海”

”稀少な動植物が命を繋ぐ森”

”見上げると降って来そうな星空”

こんな小笠原の圧倒的な自然に魅力を感じて、

それらを目的に小笠原旅行を決意するという人は多いと思います。

しかし、再来島を決める人の多くは「人に会いに行く」ということも大きな目的の1つになっていたりします。

”また来いよ”なんていうから・・・

 

小笠原の何が心に響くかはそれぞれ違うと思いますが、

この旅行で誰しも心動かされるようなものが1つは見つけられるはずです。

何かに迷っている人も、迷っていない人も

壁にぶつかっている人も、ぶつかっていない人も

毎日がなんとなくつまらない人も、なんとなく楽しい人も。

行ってみたら、もしかしたら人生が変わってしまうかもしれません。

調査結果

今回の取材(勝手に)を通して、発見できたこと

・小笠原は案外一人旅が多いこと

・往きのおが丸はちょっぴり不安なこと

・小笠原の魅力をそれぞれ楽しんでいること

・小さな島での滞在でいつの間にか連帯感が生まれること

・帰りは一人旅じゃなくなっていたりすること

・帰りのおが丸はあっという間に竹芝に着くこと

・小笠原は帰る場所なこと

・なんだか涙もろくなっていること

こんな小笠原旅行の実態が見えてきました。

おわりに

小笠原は家族で待ってます。

長くて短い6日の休みをとって、会いに行ってみませんか?

 

心、動く島。小笠原

ページ運営者

小笠原村観光局

小笠原村観光局は浜松町に事務所を置き、旅行会社・メディア対応、イベント実施などにより小笠原観光の活性化・マーケティング活動を行っています。

https://www.visitogasawara.com