観光

カナヅチでインドアなIT女子がはじめて小笠原に行ってみた<1>

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7月中旬から2航海、世界自然遺産小笠原諸島の父島と母島に旅をしてきました。

実はこの旅、最悪の状態からスタート。

でも、最後は今までの旅ではほぼ味わった事のない、なんともいえない熱い気持ちを抱え、号泣して帰ってきました。

わたしは、記憶を写真のように頭の中に焼き付けるタイプなのですが、いままで頭の中に焼き付けた記憶は風景だけでした。

今回、生まれてはじめて

「人の入った絵の記憶が写真のように鮮やかに脳裏に焼きつく」

という経験をしたんです。

小笠原からもらったものは、東京にまみれたわたしがどこかに忘れてきてしまった

「動く心」

辛くても我慢する、悲しいって言えない、心が動いてしまったら何かに負けてしまう。

自分自身で自分をそんなふうに縛って、強いふりして生きてきたわたしの心を無理やりこじ開け、溶かしてしまった。

わたしに残ったのは、忘れたくても一生忘れられない、鮮やかな記憶だったんですよね。

学生時代の体育の成績は常に2。

人の100分の1の体力しかなく、かけっこはいつもビリ。

泳げば溺れるので水泳の時間は常に見学。

球技をしても足手まといにしかならず、得意なスポーツはゼロ…。

運動なんて大嫌い、一生多分できないしできるようになるつもりもない! 運動する人も運動が好きな人もみんなきらい!!! とまで思っていた運動アレルギー(笑)

もはや日本で一番運動が苦手で嫌いなのではないかと自称しているIT女子のわたしが、ひょんなきっかけで、うっかり小笠原に行くことになってしまいました。

好き好んで運動をしないひ弱すぎるわたしに、小笠原に行くきっかけは突然訪れました。

公式ライターとして活動している離島専門メディアのリトレンゴで、小笠原の記事を書くことになり、あれよあれよという間に旅立ちが決定。

元々インドアでアクテビティなどほとんど興味のなかったわたしなので、実は最初はすごく心の中で葛藤して。

体力もない、海に入ったことがない、山登りもほとんどしたことがない、大丈夫かなあ、体力持つかなあ、途中で倒れないだろうか…と不安ばかりだったのですが、そんな不安など神様は知らぬと言わんばかりに旅立ちの日は訪れたのでした。

小笠原のパンフレットを見れば海ばかり。

泳がなきゃいけないんだろうなぁ(カナヅチだけど)、亜熱帯かぁ熱射病になりそうだなぁ、体力なくて山登りの途中で倒れないかなあ、そもそも車も運転できないんだよね、こわいなぁ。

今まで全くアクティビティをしたことなかったわたしの中にあったのは不安ばかり。

たぶん、10年前のわたしだったら行くのが嫌で嫌で、もしかしたら行くことを辞めていたかもしれないけれど、このときのわたしの心の中には一つの気持ちが生まれていました。

「いままで無理で絶対にできなかったことにも、挑戦してみよう。もしかしたらできるかもしれない。いいチャンスなのかも!」

そう決意し、不安と共におがさわら丸に乗り込むのでした。

どきどきしながらおがさわら丸に乗り込んだわたしに、3つの試練が訪れました。

 

第一の試練・船酔い

じつはわたし、めちゃくちゃ乗り物酔いするタイプ。

子供の頃、父親の車に乗せられて毎回気持ち悪くなっていたくらい、本当に乗り物に弱いんです。

なので、あらかじめ最強の酔い止めと言われる「アネロン ニスキャップ」を飲んだ状態で乗船したのです…が…3時間で撃沈。

おがさわら丸の船酔いは強烈でした。

その後、2回目の酔い止めを飲むのですが全くダメで、船はぐわんぐわん揺れるし、もうダメかも…と乗船の半分、12時間ぐらいはずっと寝ていました。

 

第二の試練・宴会

おがさわら丸24時間船の旅での楽しみの一つが、宴会。

乗船直後から飲み始めている人もいるくらいです。

飲み会が好きな人は天国なんでしょうけど、実はわたし、自他共に認める下戸でものすごくお酒に弱いんです。

さらに言うとコミュ力低めで飲み会が本当に苦手で、飲み会があったら普段は走って逃げるぐらいの勢いなんですが。

「苦手なことも頑張って克服しよう」

って決めたので、お酒も頑張って飲んでみることに。

飲ませていただいたお酒はとても飲みやすくて美味しいお酒だったんですが、わたしのお酒に弱い体質の方が勝ってしまい…すぐによっぱらってしまい、船酔いと合わせてダブル酔いです…。

第三の試練・筋肉痛

島の旅は2航海と決まっていたので、体力をつけなければっ! と思い、乗船前日にきつい筋トレをしたのが運の尽き…。

全身すごい筋肉痛で、船に乗った時はもうボロボロでした。立つのも動くのも、階段上るのも辛い。

さらにいうと、船は階段をのぼる回数がすごく多い(部屋のあった4階から展望デッキまで往復するのに何回も階段を昇り降りして)ため、わたしの疲労はピーク寸前…。

もはや、体の中も外もボロボロの状態で24時間の船の旅を過ごすのでした…。

体力がなくて不安。

泳げない、山登りもしたことない。

人の100分の1の体力しかないわたし。

加えておがさわら丸での船酔い・お酒酔い・筋肉痛のトリプルパンチで心も体もボロボロで小笠原に到着しました。

通常はここで

「海きれーい!!!」

「見違える世界!!!!」

と感動するところなんですが、わたしの心の中にはひとつの言葉しか浮かびませんでした。

(…2週間、無事に過ごせるんだろうか…)

あまりにも不安な小笠原の旅のスタートだったんです。

>>カナヅチでインドアなIT女子がはじめて小笠原に行ってみた<2>

SYO

旅ライター

SYO

行った国は20ヶ国以上。世界遺産めぐりが趣味。愛機はSONY α7。猫好き。運動音痴で人の100分の1しか体力がないため、離島巡りをするために筋トレに励んでいる。

https://www.ritorengo.com/writer/syo/