
オガニマルールって何だろう?
小笠原諸島の貴重な生態系を守るため、新しく「小笠原村愛玩動物の適正な飼養及び管理に関する条例(以下「ペット条例」という。)」ができました。
「小笠原(オガさわら)の動物(あニマる)たちのための条例(ルール)」から「オガニマルール」の愛称が生まれました。

オガニマルールとはペット条例で定められたペットの飼い方、管理の仕方に関する次の4つのルールのことです。
ルール1.正しく飼って、逃げないようにする(令和3年4月スタート予定)
ルール2.ペットの登録をする(令和3年4月スタート予定)
ルール3.小笠原にペットを持ち込むときは申告する(令和4年度以降スタート予定)
ルール4.持ち込める種類を確認する(ルール1~3を経て段階的にスタート予定)
オガニマルールは、小笠原でペットを飼う人だけでなく、観光などで小笠原に訪れる方にもご協力いただくことになります。
なぜオガニマルールが必要なの?
小笠原は大陸と陸続きになったことがない海洋島という環境であるため、独自の進化を遂げた固有の生き物が多く暮らしており、それらがつくり出す独自の生態系は外来種による影響を非常に受けやすいという特徴があります。
外来種とは人の活動に伴って、本来生息・生育しない場所へ持ち込まれた生き物のことです。
そうした外来種が侵入し、拡散してしまうと、もともと小笠原にいた在来種が食べられてしまうことや、在来種の住みかを奪ってしまうといった問題が生じ、小笠原の生態系に影響を及ぼしてしまいます。

代表的な外来種グリーンアノール
こうした外来種が侵入してしまう主な原因としては、資材に付着してきたり、家畜として持ち込まれたりするケースが挙げられます。
しかし、ペットが逃げてしまうことや飼いきれなくなったペットを放すことが原因になる場合もあります。
ペットはひとたび野生下に放たれてしまうと、生態系に大きなダメージを与える可能性があるのです。
一方で、ペットを飼うことは人に癒しを与えたり、子どもたちに良い学びを提供したりする効能があると言われています。
さらに、生き物についての面白さや奥深さを感じる非常に良い機会になります。(筆者も幼少期から魚を飼育していて、その経験が高じて大学で魚の研究をしていました。)
また、ペットをきちんと飼うことは、ペットを飼っていない人への配慮にもつながり、当然のマナーです。
よって、小笠原の野生動物が安心して暮らしていくためにも、ペットと野生動物がすみ分けをすることが大切です。そのためのルールとしてオガニマルールができました。
これまでのペット由来の外来種対策
実際に、小笠原ではペットとして持ち込まれたネコが野生化し、希少な鳥類の生息数の減少や海鳥の繁殖地が消失するといった影響が生じてしまいました。
このような事態を受け、関係機関・団体により小笠原ネコに関する連絡会議が組織され、島内外の関係者や村民と連携をしながら、飼い主のいないネコの捕獲などの対策を実施してきました。
また、小笠原村においては平成10年に飼いネコ適正飼養条例を制定し、飼いネコの飼養登録やマイクロチップ装着などにより適正飼養を推進してきました。
これらを含む長年の取組により、アカガシラカラスバトなどの希少種の生息数の回復や海鳥の繁殖地の復活といった成果もみられています。

近年よく目撃されるようになったアカガシラカラスバト
これまでの経験を活かしながら、対象をネコだけでなく、ペットであるすべての動物へと発展したのが、オガニマルールなのです。

オガニマルールが定着することにより、ペットと野生動物がすみ分けでき、「人とペットと野生動物の共存」が実現されることを目指しています。
加えて、オガニマルールを守っていただくことで、小笠原の自然環境を守るだけでなく、飼い主がペットを責任持って大切に飼うことの意識向上にも繋がっていくと期待しています。
それぞれのルールについては次回以降詳しく解説します。
ペット条例に関しては小笠原村役場環境課のホームページもご参照下さい。
お問合せは小笠原村役場環境課自然環境係までお願いします。
小笠原村役場環境課自然環境係
TEL:04998-2-2270
FAX:04998-2-2271
E-mail:shizenkankyo@vill.ogasawara.tokyo.jp

小笠原村
環境課自然環境係
環境行政の充実を図るため、2015年、村に環境課が新設しました。自然環境係では、環境保全に関すること、特に世界自然遺産の保全をはじめ、人と自然が共生できるよう自然環境保全に関する普及啓発を中心に各種取組を行っています。
書いた人の他の記事
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