内地で小笠原

ダンプレン? ピーマカ? 不思議な名前の小笠原郷土料理

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小笠原の郷土料理ってご存知ですか?

一般的に注目を浴びているのは『島寿司』『ウミガメ料理』ではありますが、もっと簡単に作れて家庭で愛されてきたお惣菜があります。

それが『ダンプレン』『ピーマカ』

は? それって料理の名前なの?って思いますよね(笑)

英語と日本語とさまざまな文化が入り混じった【小笠原言葉】

これらお惣菜の料理名も、その【小笠原言葉】のひとつと言えるでしょう。

これらの家庭料理『ダンプレン』も『ピーマカ』も、内地(本土)で手に入る簡単な材料で作ることができます。

新型ウィルスの影響を懸念しての来島自粛・来島人数制限などが行われているいま、小笠原の郷土料理を家庭で作って味わい、思いをはせてみるのはいかがでしょうか?

今回は、そのレシピも合わせてご紹介します。

【元旦・海開き】でふるまわれる『ダンプレン』 

『ダンプレン』は、英語で団子を意味する『Danpling』(ダンプリング)が訛って伝えられたものです。

鶏肉ベースで出汁をとり、玉ネギ・人参・キャベツなどを加えた塩味のスープに、小麦粉を水と卵で溶いた団子を入れて作る『洋風すいとん』といった感じのお料理ですね。

関東出身である筆者は『すいとん』といえば味噌汁ベースというイメージを持っていますが、それが小笠原という欧米文化のなかで塩味やコンソメ味で作られてきたというのは納得です。

時折この『ダンプレン』を食事時に提供してくれる宿もあるようですが、この郷土料理を年に一度、すべての方にふるまわれるのが【元旦・海開き】

そう、小笠原の名物イベントのひとつでもある【元旦・海開き】では、災害炊き出し用の大きな鍋で作られる『ダンプレン』がふるまわれます。

亜熱帯の島とはいえ水温の下がった冬の海風が吹き抜ける広場に集う人々を、ほっこりさせてくれます。

ダンプレン&ピーマカ1
ダンプレン&ピーマカ2
ダンプレン&ピーマカ3

小笠原の郷土料理『ダンプレン』の作り方

『ダンプレン』はすべて、内地(本土)のスーパーで手に入る食材で作ることができます。

ダンプレン&ピーマカ4

材料
鶏もも肉 玉ネギ ニンジン 食用油 鶏ガラスープ 塩 胡椒 卵 小麦粉

ダンプレン&ピーマカ5


玉ネギ・ニンジンは千切りまたは小口切りにする。

鶏もも肉は小さめに切り、塩・胡椒・酒で下味をつける

ダンプレン&ピーマカ6


鍋に油をあたため、鶏肉を炒める

ダンプレン&ピーマカ7


肉の色が変わったら、野菜も加えて軽く炒める


水を加えて煮込み、鶏がらスープの素・塩・胡椒で味をととのえる


その間に団子を作る
卵を溶きほぐして水を加え、そこに小麦粉を加えてホットケーキよりもやわらかい生地を作る

ダンプレン&ピーマカ8


団子の生地を、スプーンですくって汁に落としていく

小笠原の郷土料理『ダンプレン』できあがり

ダンプレン&ピーマカ9

今回は、彩りに小松菜を加えました。

鶏ガラスープを使いましたが、コンソメスープの素でもおいしくできますよ!

ビネガーが訛った『ピーマカ』

『ピーマカ』は、白身魚を薄切りにして玉ネギやダイコンと一緒に酢漬けにしたお惣菜です。

酢の英語名・ビネガーが訛って『ピーマカ』になったと言われています。

酢ではなく、ダイダイ(みかんの仲間)の搾り汁を使うのが本家との意見もあります。
郷土料理というのは家庭料理でもあるので、各家庭によって味付けは変わるのです。
日本人が一般的に使う調味料が簡単に手に入らない環境の中で、【酢】の代用として島のカンキツ類の果汁が使われたりすることもあったでしょうし、その香りを気に入って『ピーマカを作るならダイダイの方がおいしい』というおかあさんもいたでしょう。

今回、何人かの島のおかあさんにお話を伺いましたが、仕上げに少しの醤油で香りづけするという方や、島とうがらしで少し辛味を効かせるという方もいらっしゃいました。

ピーマカに使うサカナ『ササヨ』って?

最近では『サワラがちょっと余ったからピーマカ作ったわ』という声も聞こえますが、もともとは【ササヨ】を使って作られていました。

【ササヨ】というのは【ミナミイスズミ】というサカナの島名です。

ダンプレン&ピーマカ10

岩礁に群れるサカナで、残念ながら見た目が美しいと表現されることはありませんが、ダイビングで沖に出かけたときに水中で目にする、潮当たりの強いところに群れている様はなかなかの圧巻です。

雑食なので独特のニオイがあり、食用として好かれるイメージはないのですが・・・(笑)

でも、『冬場のササヨは美味しい』とか、『沖で釣れるササヨは旨い』などと聞くことはあるので、釣れやすいサカナを酢や柑橘でニオイをやわらげることで、家庭料理として食卓に登場していたのでしょう。

せっかくおとうさんが釣ってきたサカナを、『このサカナは臭いからいらない』って言えないおかあさんの工夫が込められているかもしれませんね。

小笠原の郷土料理『ピーマカ』の作り方

白身魚なら、基本的にはなんでも大丈夫でしょう。

今回は街のスーパーで【カレイ】を見つけたので、それで作ってみました。

ダンプレン&ピーマカ11
ダンプレン&ピーマカ12

材料
白身魚(今回はカレイ) 玉ネギ 塩 酢 レモン(ダイダイの代用) あおとうがらし

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サカナを薄切りにして並べ、塩をふる

ダンプレン&ピーマカ14


サカナの上に薄切りにした玉ネギを並べ、酢を回しかける

ダンプレン&ピーマカ15


刻んだあおとうがらしを散らし、ピッタリとラップをして数時間冷やす

小笠原の郷土料理『ピーマカ』できあがり

ダンプレン&ピーマカ16

さっぱりとして、箸休めやビールのおつまみに最適ですよ。

おうちで小笠原気分・料理編 

来島者数が制限されているいま、『小笠原へ行きたいけれど、いまはガマンしている』という声がたくさん聞こえてきています。

そこで、毎日の食事の中で小笠原を感じることができたらと思い、家庭で作ることのできる小笠原の郷土料理をご紹介させていただきました。

『ダンプレン』も『ピーマカ』も家庭料理であり、島の飲食店ではあまりお目にかかれないお惣菜です。

何度も小笠原旅行に出かけている方でさえ、食した経験がないかもしれませんね。

このお料理自体も、特に小笠原を感じるような食材ではありません。

でもこれを読んでくださった方が、玉ネギやニンジンといった、ごくありふれた野菜を見ただけで小笠原のことを想い、次回の来島を楽しみにしていただけたらと思います。

小笠原に行きたいのに行けない…と残念に思っている方々と同じように、島の宿泊施設・ガイド・飲食店側も、早くみなさんにお会いしたいという気持ちを抱えています。

でも逆に今回のことで、東京~小笠原間の1000キロ・24時間という距離と時間が、みなさんの想いによって近くなったような不思議な感覚を感じています。

『ダンプレン』に『ピーマカ』。
小笠原を想いながら、今日の食卓にいかがですか?

マーメイドカフェ

Mermaid Cafe オーナー

あらいたかみ

小笠原の海に魅せられて、1998年より小笠原に移住。
ダイビングインストラクターとしての仕事を引退した後、少女の頃の夢『手作りケーキとおいしいコーヒーの店』を移動販売車で始める。

小笠原の生活を綴ったブログ『マーメイドのひとりごと』公開中

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