文化・歴史

ご当地ヒーローも登場!父島のサマーフェスティバル

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娯楽施設が無い!?

小笠原には俗に言う「娯楽施設」が無い。

そのため島民は普段の生活の中で物事を楽しむための術を身につけている。

子供達は自分で遊びを思いつき、また、島の中でイベント等が開催されると大人もめいっぱい楽しむ。

フラオハナ

サマーイベントの目玉の一つ、「フラ・オハナ」

小港海岸で開かれる「ビーチバレー大会」

一年通して村が企画する行事や島民達自身で開かれるライブイベントなどあるが、島民や観光客を含めて一番多くの人が集まるのはやはり夏のサマーフェスティバル期間だろう。

これは夏の繁忙期に当たる8月中に行われる複数イベントの総称で、毎年たくさんの人が楽しみにしている。

各週違う催しが開かれるが、最も多くの人が参加するのがお盆の週に開催される盆踊りだ。

アンコールがかかるほど盛り上がる「盆踊り」

盆踊り

「盆踊り」は町のお祭り広場で開催される

花火

皆さんからの寄付で打ち上げられる花火

三日間続く盆踊りの会場はいつもたくさんの屋台が出店し、皆食べたり飲んだり踊ったりと大いに夏を満喫する。二日目には花火大会がある。

都会の派手な花火大会に比べたら規模は圧倒的に小さい。しかし太平洋の小さな島の砂浜に座り込み海上に打ち上げられる花火を真上で 見られるのは、内地の何万人と押し寄せる花火大会とは比べ物にならない贅沢だ。

そして最終日の締めには必ず盆踊りのアンコールが起き、全員が踊りに参加する。

小笠原の人々が「楽しむ」ということに対してどれだけ気持ちが込もっているかがこのような行事を通して伺える。

ヒーローも登場する「NEWS ボニンタイム」とは

ボニンタイム

写真提供:Newsボニンタイム実行委員会

写真提供:Newsボニンタイム実行委員会

写真提供:Newsボニンタイム実行委員会

先日は今年のサマーフェスティバルのトリを飾る「ニュース・ボニンタイム」というイベントがあった。

数ある小笠原サマーイベントの中でも比較的新しいボニンタイムは、若い島民達が自分たちで新しい形の催しを企画しようということから始まった。

名前の通り、島の中で話題になったニュースを島の飲食店等の自作CMを挟みながら楽しむというところから始まり、年を重ねるごとにミズ・ミスターボニンコンテストやクイズ大会、そして仮装大賞といった新しい企画を更に盛り込んできた。

最初はサマーイベントの中でもどちらかというと少しマイナーな立ち位置だったが年々と見に来る人も増え、近年では夏の最後の島民の楽しみとなっている。

ボニンレンジャー

写真提供:Newsボニンタイム実行委員会

写真提供:Newsボニンタイム実行委員会

去年からのボニンタイムの目玉はヒーローショー 。

主役の常夏戦隊ボニレンジャーや悪役のアノール軍団のキャストから、映像・音楽・舞台演出まで全てボニンタイムメンバーを含む島民達で作り上げている。

前年の大反響に答えて、今年も「怪人ボニン」と題したボニレンジャーが登場する舞台が整われた。子供達は興奮し、大人達も大いに笑い、最後にはみんなでオリジナル曲の「怪人ボニン音頭」を踊り、握手と写真会で今年のサマーフェスティバルに幕を下ろした。今年のボニンタイムの様子はYouTubeにも上がっている。

舞台演出やイベント運営経験がほとんどない島民自身の手でこれだけ質の高いショーを演出するのは並大抵のことではないと思う。

機材の設営や撤去も全て自分たちで行い、この企画のためにメンバーはそれぞれ担当の機材の配線や操作を憶え、工夫する。

出演者達も忙しくて(夏は島民にとって一番忙しい)時間が限られた中でリハーサルや舞台衣装の作成をこなす。

誰かに依頼されてやっているわけではない、皆心の底から楽しみ、楽しませようとしているのだ。

真面目に本気で遊ぶというのはこういうことだと思う。そして島民達はそれを見て大いに喜んでくれる。

小笠原のボニンタイムは、小笠原の島民が遊びに本気になった時に示す潜在能力の高さと、物事を真剣に「楽しむ」ための姿勢が垣間見えるイベントでもある。

小笠原を訪れた際に島のイベントがあるときは、ぜひ足を運んでこの島の平和さと物事を楽しむ心を感じて欲しい。

フリーペーパーORB編集長

Ludy

小笠原諸島のフリーぺーパー「ORB」を発行しています。
FB: @boninislandorb
Instagram: @freepaperorb

https://freepaperorb.tumblr.com/