自然

宿から徒歩3分!アオウミガメとサメがいっぺんに観れちゃう母島ってすごい!

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母島にカメとサメの季節がやってきました!

3月になり、母島の各所で ビーデ(ムニンデイゴ)の花が咲き、カメとサメの季節がやってきました。
母島の脇浜にある通称「カメ生簀」には、例年では9月頃まで40頭程度のアオウミガメが入っています。
母島では3月~4月頃に東京都知事により許可された頭数のアオウミガメの漁を行っていますが、保護増殖事業も行っていて、その一環として小笠原村からの補助金により、雌のアオウミガメを母島の脇浜なぎさ公園内にある「アオウミガメ人工孵化場」で産卵させて孵化した稚カメを放流しています。

有精卵を得るために雄のアオウミガメもカメ生簀に入っていて、雌カメの上に雄カメが乗ったまま泳ぐ姿がみられるのもこの時期です。

アオウミガメとはどんなカメ?

アオウミガメは太平洋・インド洋・大西洋などに分布するウミガメで、日本国内では小笠原諸島のほか、南西諸島や八丈島等にも分布し、繁殖しています。

和名のアオウミガメや、英名のGreen Sea Turtleは、甲羅の下の脂肪層が青緑色をしていることに由来するそうです。これはアオウミガメが主に食べる海藻類の色素が影響しているとのことで、甲羅の色は赤茶色です。

01アオウミガメ

画像は、母島の東港でダイビング中に出会った悠々と泳ぐアオウミガメですが、成体では甲羅長が1m以上になり、体重は200kgを超えることもあるそうです。

02アオウミガメ

アオウミガメは意外にのんびりな子もいて、カメに気づかれないと、しばらく一緒に泳ぐこともできます。

03アオウミガメ
04アオウミガメ

母島の東港のほか、北港もアオウミガメと一緒に泳げるポイントでオススメです。

時期であればいつでもアオウミガメに会えるポイントとは?

05アオウミガメ

野生下でのアオウミガメは、生息しているといわれるポイントに行っても残念ながら見られないこともありますが、こちらの脇浜なぎさ公園内にある「アオウミガメ人工孵化場」では時期であれば、ほぼアオウミガメを見ることができます。
場所は、宿泊施設がある静沢地区からは徒歩3分ほどで、元地地区からは徒歩7分ほどの場所です。

この施設は、なだらかな砂地にアオウミガメが上陸して産卵できるようになっていて、産卵した卵を保護する施設もあります。周辺には低いフェンスがありますが、生簀の中は周囲から自由に見学できるようになっています。

06アオウミガメ
07アオウミガメ
08アオウミガメ

ウミガメは爬虫類で呼吸は肺呼吸です。呼吸するときには「プハ~ッ!」という音とともに海面に頭を上げるので、少し生簀の奥にいてもカメは見つけやすいです(画像は別の施設で飼育しているアオウミガメの幼体の息継ぎのときの様子です)。

「アオウミガメ人工孵化場」の生簀の中にはアオウミガメの他に、キイロハギやモンツキハギ、ツノダシ、ヤマブキベラ、ロクセンスズメダイ等が入っていることもあり(外部から自由に魚が入ってくる)、スノーケリングしなくても亜熱帯の海域に多い様々な種類の魚が見られるので、小さなお子様と一緒でも観察が楽しめます。

そしてこの季節ですが、そうした色とりどりの魚の他に、アオウミガメと一緒に大きくて黒くて細長い生き物がたくさんうごめいていることがあります。

大きくて黒くて細長い生き物の正体とは?

ホワイトチップシャーク01
ホワイトチップシャーク02

よく見ると、背びれと尾びれに白い班が入っているのがわかりますが、グルグルと旋回しながら獲物を狙うように泳ぐ様子はそう、海のハンターのサメです!昼間は岩などの下に頭を突っ込んで眠っているかのように見えることから「ネムリブカ」とよばれ、また背びれと尾びれの白い班から「ホワイトチップ」ともよばれます。

サメと聞くと「怖い」というイメージがありますが、1~1.5mほどの小さなサメで、昼間の間はほとんどじっとして休息していて、たまに近くにアオウミガメが泳いできてしまうとネムリブカのほうがビックリと驚いてしまうようで、急にジタバタと動き出し、昼間みるネムリブカは全く怖いという気がしません。

ホワイトチップシャーク03

ちなみに、このネムリブカは勝手にこのカメ生簀の中に入ってきてしまうようで(港内に面したカメ生簀のゲートの下を潜ってきてしまうのか?)カメ生簀を訪れるたびに、ネムリブカの頭数が多かったり少なかったりするのが面白いです。

しかし、それにしてもこんなに沢山のネムリブカは一体どこから入ってきてしまうのでしょう?

だって地名は鮫ヶ崎!

ホワイトチップシャーク04

カメ生簀がある脇浜なぎさ公園は、母島の東港の海底の砂を入れて埋め立てて整備した人工海岸ですが、その周辺は戦前から「鮫ヶ崎」とよばれ、今でもその地名は使われています。

戦前からサメが多いところだったそうですが、このネムリブカは3月頃から徐々に個体数が増し、5月頃にもまだ沢山のネムリブカが見られます。ネムリブカは繁殖のために浅い海域に集まるのではないかと言われていますが、まだ私はネムリブカの出産を見たことはありません。ちなみに、胎生で出産し50㎝くらいのサメの赤ちゃんを産み落とすそうです。

ホワイトチップシャーク05

昼間は休息しているといわれても、まとまっているとちょっと迫力があります。

ホワイトチップシャーク06

日によって集まっている地点が違いますが、ここにはいつも大体群れています。

いかがでしたか?

いかがだったでしょうか?
今回ご紹介したアオウミガメとネムリブカですが、水族館のような施設ではなく、野生や野生に近い状態で、しかも母島の集落から徒歩で行ける身近な場所でこのような生き物を見ることができるのがとても貴重な体験になると思います。

ちなみにネムリブカですがメジロザメ科のサメで、昼間は休息していておとなしそうに見えますが、夜は豹変してハンターになり、魚やタコなどを捕食します。
また、昼間も棒でつついたり尾びれをひっぱったりすると噛みつくこともあるそうなので、ネムリブカに危害を加えることは絶対にやめましょう。
鮫ヶ崎周辺の他にも、御幸之浜や南京浜や南崎海岸でも春頃には集団で休息するネムリブカを見ることができます。

アオウミガメとネムリブカが告げる母島の春。皆さんもぜひカメ&サメに会いに母島にご来島ください!

自然ガイド

梅野ひろみ

母島の旬な情報や歴史文化など、様々な情報をお伝えします。

http://www.hahajima-hilolo.com