小笠原ビジターセンターにて11月1日より、秋冬特別展「島のくらし展」を開催しています!
「島のくらし展」では現在の島での生活について、生きるために必要なことを軸に基本情報を加えて紹介しています。
島外に住む方々に島の生活について知っていただくことは勿論のこと、島民であっても意外と知らない事柄も紹介しています。展示内容は父島中心となっていますが、項目別に母島との比較等を加えた展示もあります。
小笠原は新鮮な驚きに出会う島です。この展示をご覧になって島の生活を知ることが最初の驚きになるかも知れません。
交通 流通 ~おがさわら丸が頼りの島~
‘島民の足’として東京―小笠原間の交通手段は、週に一便ほどの定期船‘おがさわら丸’だけです。また、生活用品のほとんどがおがさわら丸によって運ばれます。
インターネットでも生活用品は購入できますが、生鮮食品は島内の店で買うしかありません。台風の影響で、稀におがさわら丸が予定通り入港できないと、商店の棚が見事にスカスカになってしまう事もあります。
水 食 住宅 電気 ガス ~生きていくために必要なもの~
水
生きるために最も必要なものが水です。小笠原ではダムに川の水を貯めて供給しています。
2016~2019年にかけて雨が少なく水不足が深刻化しましたが、海水を真水に変える装置稼働など渇水対策がとられてダムの水が底をつくことは免れました。全島民が危機を感じ、水の大切さを痛切に実感した数年間です。
食
本土では馴染みのない食材が使われた小笠原の郷土料理。
代表的なものは亀料理や島寿司で、亀は人が定住し始めた時代から貴重なたんぱく源として食べられています。島寿司はサワラを基本的に使用し、わさびの代わりに洋辛子を使います。欧米系やハワイ系入植者から伝えられた‘ピーマカ(魚の酢漬け)’、‘ダンプレン(洋風すいとん)’なども定着しています。
住
民間のアパートは少なくて家賃が高く、家を建てるにも莫大な費用がかかることもあり、一般島民のほとんどが都営住宅に住んでいます。
仕事があっても住むところがなく定住を諦める一般島民も多いので、住宅問題は以前から大変な課題となっています。ちなみに公務員には国・都・村それぞれの職員住宅が用意されています。
電気・ガス
島嶼(とうしょ)の発電はそれぞれの島で内燃力発電(火力発電)しているのですが、それは島民でも知らない方が多いようです。ガスはプロパンガスで、貨物船‘共勝丸’によって運ばれて来ます。
産業 医療 ~人口の三割ほどが公務員~
産業
自然に囲まれた小笠原は漁業や農業に携わる人口が多いのでは?と思われますが、実は就業者の三割ほどが公務員です。漁業・農業等の人口が約一割、インフラ関係の仕事等が約二割、あとは観光業・飲食業等が占めます。
この10数年で建設・土木業の就業者が増えています。それは世界自然遺産登録の前に、生態系に関する課題を解決するための具体的な行動計画を示した ‘生態系保全アクションプラン’ を、国・東京都・村で作成して保全管理を進めている環境保全事業があるからです。その為、外来種駆除・外来生物侵入防止柵設置・固有動植物保護など、現場でも官民一体となって実際にそれぞれの事業を行う姿が見られます。
これは小笠原ならではの仕事ではないでしょうか。
医療
病院はありませんが父島と母島に村営診療所があり、医師と歯科医が常駐しています。病人や事故等による負傷者で診療所では対応が困難な場合は、海上自衛隊による本土への救急搬送が行われます。
教育 通信 ごみリサイクル ~小笠原ならではの教育、発展した生活状況~
教育
小笠原の教育機関は、母島は保育園から中学校、父島は保育園から高等学校まであります。
小学校では「南洋踊り・タコノ葉細工」などの文化・歴史関係授業と「動物・植物」などの自然関係授業を学年に応じて行っています。また、中学校では「硫黄島訪島」、高校では「ウィンドサーフィン」の授業があることが特色です。
母島の子どもたちは中学校卒業とともに親元を離れ、父島の高校か本土の高校に進学、高校卒業後は母島・父島の生徒のほとんどが、進学あるいは就職するために島を離れます。
通信
1982年までオペレーターに通話を申し込んで電話をしていた時代や、1984年にBSの番組のみ視聴できるようになったテレビ放送の時代が信じられないほど、通信事情はほんとうに良くなりました。
2023年現在、父島と母島の集落内では、電話・テレビ・インターネット等、本土と同程度のサービスが受けられます。
ごみリサイクル
ごみ処理については、母島リレーセンター(中継施設)と父島クリーンセンター(焼却施設)が整備されています。
島ならではの不利性を抱えながらも資源物は分別収集を行い、島外のリサイクル業者へ搬出してごみの減量化や資源の有効活用を行っています。
海洋ごみについてはNPO他ボランティア主体の回収事業も行われ、現在は2020年から父島の三か所のビーチに設置された海洋ごみとマイクロプラスチック回収箱への認識が定着。また、環境教育プログラムが組み込まれているごみ回収イベントもあります。
タコノ葉細工 島で楽しむ ~続く文化と日常生活~
タコノ葉細工
タコノキの説明、タコノ葉細工の制作工程・歴史についてパネル展示するのに加え、小笠原が日本に返還されて間もない1970年代頃に作られたものから、最近のものまで作品展示しています。
明治時代には一人の職人の収入で一家の生活を賄えた時期もあるタコノ葉細工。小笠原独特の編み物細工をゆっくり鑑賞してください。
島で楽しむ
新型コロナウイルス感染症が蔓延した2020年から島での日常も変わりました。本土と同様に学校休校・リモートワーク・飲食店の規制…。そして、例年なら開催される島でのイベント全てが中止に。
でも、島民の多くは(知る限り)やはり、自分の世界を持っていて島の楽しみ方を知っているようです。有志で習い事のおさらい、各々の作品作り、海へ!山へ!と。そんな様子を写真で紹介しています。
ハンズオン(参加型展示)~「こんなことあり?!」があったら教えてね~
展示室内に ‘おがさわらQ&A’ というめくり式クイズがあります。
表に問題が書かれ、めくると答えが分かる仕組みです。来島された方によく質問されることを6問、あちらこちらに設置しています。きっと素朴な疑問が解消されることでしょう。
島で感じる「あるある」を書いてね!
中央の机上には自由に書き込むことのできる‘島あるある’コーナーがあります。
保育園以外は給食がなく弁当、中高生は昼食を家に帰って食べてもよい他、島内外の方からの島あるある情報がここに書かれています。
ご来館された際は、島で過ごしてみて気づいたことを是非書き込んでください!
「島のくらし展」は来年(2024年)1月28日まで開催しています!
本特別展の展示物は、観光・仕事で来島された方から島民まで楽しめることを目標にして作製しました。
これから島はどんな展開を迎えるのでしょうか。
ずっとドキドキワクワクを感じることのできる島でありますように!
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