現在、小笠原ビジターセンターでは夏の特別展 写真展「ひみつのBonin」を開催しています。
この写真展は「身近なのにあまり知られていない」「人知れずおきている」「もう立ち入れない・もう見られない」など、撮影者にとって少しだけ秘密にしておきたいような写真で構成しています。
それは同時にガイドブックには載らない、小笠原に暮らす島民の日常のひとコマでもあります。
ちょっといいなと思ったらスマホやコンデジでパチリ。
予測を立てて一眼レフで狙いを定めてパチリ。
撮り方・カメラ・撮影した時期は様々ですが、どれもその時心が動いた大切な記録です。
眺め
どこを撮っても風光明媚な小笠原ですが、同じ場所でも撮影のタイミング、アングルなどの違いで大きく異なって見えます。
季節や潮の満ち引きによって現れる景観、雨上がりの水たまりに映るリフレクション、見慣れた場所を上空から見た様子、すぐそこにあるのに気づかなかった「眺め」がたくさんあります。
自然現象
本土から遠く離れ、高い建物や山も少ない小笠原では、自然現象もダイナミックです。
一大天体ショーである日食や月食も、本土の天候が悪い時に小笠原だけが観測できる(もちろん逆もあります!)こともありますし、数百キロ離れた火山活動が火山雷という形で観られることもあります。
憧れのグリーンフラッシュや珍しい反薄明光線、月傘、ハロ、虹といった光の織りなす現象も小笠原なら一段とクリアに撮影することができるように思います。
また、遠くの台風からやって来るウネリや鏡のような凪、雨雲の接近など、島の暮らしと切っても切り離せない海況模様や気象も自然の造形美といえるでしょう。
植物はお好き?
満開の花々や歩道で見上げるヤシの木と空も日々変化するので見逃せません。
そして、ご存じですか?
小笠原には牧野富太郎博士が分類に協力された植物が数種類あり、その中の固有種3種(シマクマタケラン、ムニンイヌツゲ、シマゴショウ)の和名を命名されているのです。
固有種の宝庫、小笠原に牧野博士が訪れていたらどのように思われたでしょうか。
このコーナーでは牧野博士が命名された植物の写真も展示しています。
(参考図書:豊田武司 小笠原諸島 固有植物ガイド.株式会社ウッズプレス,2014.)
すこし昔
小笠原諸島が世界自然遺産に登録されたのは2011年のことですが、それより少し前の2002年には南島と母島の石門について、利用ルールの運用が始まりました。
また、2007年には小笠原諸島森林生態系保護地域が設定され、立ち入りできるルートの制限やルートによっては講習を受講したガイドの同行が必要になりました。
このコーナーではルール制定前の現在は入れない場所などの写真を展示しています。今では貴重な記録でありながら、どこかのんびりとした小笠原らしさが漂う作品です。
そして、大好きな小笠原を楽しみ、大切に思う心はルールができる前も後も変わらないことが感じ取れます。
この写真展では必要に応じ「東京都自然ガイドの同行が必要」「森林生態系保護地域入林パスを所持した人の同行が必要」や「現在は指定ルート外」と表記をしています。
展示のひみつ
ここだけの話ですが、密かにリサイクルやアップサイクル(廃棄物などにデザインやアイデアで新たな付加価値を持たせること)を意識して展示しています。
展示によく使われるスチレンボードは最小限にし、段ボールや古い額を加工、補修して利用しました。
一見おしゃれな棚に見えるのは、細く切った段ボールを3枚重ねたもの。
お馴染みの生きものだけれど一癖ある姿でとらえた作品が並ぶのは、コロナ禍で活躍した横長のアクリル板を縦長に付け替えたパーティション。
おわりに
この展示室は撮影禁止エリアのため個々の作品の紹介は控えましたが、会場の雰囲気は伝わりましたでしょうか。
あなただけの「ひみつのBonin」はきっとまだ、
この小笠原にたくさん隠れています。
小笠原に初めて訪れる方はもちろん、多くのリピーターの方にもこの展示を楽しんでいただき、自分だけの小笠原をみつけるきっかけとなれば幸いです。
そしてもしみつけたら、こっそりスタッフに教えてください。
小笠原ビジターセンター
開館日
おがさわら丸・観光船入港中
午前8時30分~午後5時00分まで
*夜間開館日あり
*開館日については下記サイトからご確認ください。
https://www.tokyo-park.or.jp/nature/ogasawara/
問合せ
小笠原ビジターセンター 電話番号:04998-2-3001
Twitter:https://twitter.com/OgasawaraOogami
(小笠原の様子を平日は毎日更新しています)
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