文化・歴史

本当の孤島になる「ドック期間」って!?

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1月20日前後から2月初旬の3週間弱、小笠原は長い「冬休み」に入ります。
東京竹芝と父島を結ぶ「おがさわら丸」が、
年に一度の「ドック期間(定期整備)」に入り、運行を休止する期間です。

「ドック期間」は小笠原の冬休み

「ドック便」が出港すると、島は静寂に包まれる

年末年始は繁忙期の小笠原。
イベントも多く、商店も観光業も元日から通常営業しています。
賑わいが一段落すると、船はドックに入ります。
ドッグ入り直前のおがさわら丸は「ドック便」と呼ばれ、
島民にとって特別な便となります。

カゴいっぱいの食料品を買う島民で長蛇の列

ドック期間中、棚はこんな状態に!

内地に向かう「ドック便」で、多くの島民が旅行や帰省で島を離れます。
フル営業だった商店や観光業の多くが、長期休暇に入ります。

完全な孤島になる小笠原

「ドック便」が出港すると、静かな時間が島全体を包みます。
21世紀の日本で2週間以上も、外界と遮断される場所。
この時期の小笠原は、究極の孤島です!

ドック期間中、貨物船の「共勝丸」が一度、
そしてドックから戻る「ははじま丸」が
郵便物・宅急便・生鮮食料品を運ぶ予定になっていますが
海況不良の場合は欠航になってしまうことも。

この時期、存在感を発揮するのが島野菜です。
果物のように甘くて爽やかなトマト、
きゅうりやセロリなどの野菜が、島内に出回ります。
島育ちのフレッシュな野菜を味わえる、最高のシーズンです!

ローカルなイベントも開催

ゆったりした時間が流れる中、島民向けのイベントも開催されます。

まずは「ロードレース大会」。
小学生から大人まで参加、応援も盛り上がります。
そして大神山神社での「節分」。
年男、年女の島民が豆の袋を境内にまきます。
大人も童心に返って、境内はすごい熱気!

「ドック期間」中の小笠原の様子、いかがでしたでしょうか。
交通や流通が発達し、日々便利になっていく日本。
この時期の小笠原には、そんなスピード感から完全に解放された、
穏やかな時間が流れています。

のなかあき子

元島民ライター

のなかあき子

2015年〜2017年春まで父島居住。
2児の母。島生活で太鼓とパッションフルーツに目覚める。
父島のおすすめスポットは「製氷海岸」「コペペ海岸」「三日月山展望台への脇道」。
著書に『東京のDEEPスポットに行ってみた』(彩図社)など。

https://twitter.com/akikononaka