青い海と空、どこまでも続くサンゴ礁と色とりどりの魚たち、そんな映像を見て母島をご旅行先に選ぶかたも多いのではないでしょうか?
母島のベストシーズンの夏ももうすぐそこ、今回は母島のスノーケリングポイント10カ所をご紹介したいと思います。交通手段は徒歩や車等で行かれる場所で、起点は沖港船客待合所からとしての時間をご案内しています。
母島中部のスノーケリングポイント
脇浜なぎさ公園

鮫ヶ崎展望台から脇浜なぎさ公園周辺
脇浜なぎさ公園の奥にある階段を上ると「鮫ヶ崎展望台」があり、晴れた日には脇浜や鮫ヶ崎周辺のサンゴ礁が美しく広がる風景が素晴らしいです。
すぐにでも海で泳ぎたい気持ちになります!

脇浜のアオウミガメ人工孵化場付近の高台
脇浜なぎさ公園の中にはアオウミガメの人工孵化場があります。
人工孵化場の近くには階段状になった高台もあるので、泳がないかたも海やアオウミガメを眺めながらのんびり過ごすこともできます。
なお、弓なりにのびる歩道から先は、漁船や定期船「ははじま丸」の航路になっています。歩道から先は遊泳禁止エリアなので絶対に泳がないようにしてください。
脇浜なぎさ公園
石次郎海岸
石次郎海岸へのアクセスですが、沖港船客待合所から都道241号線を南に進み、徒歩で15分、車の場合3分ほどで石次郎海岸入口の看板が見えてきます。
石次郎海岸入口付近には車2台ほどが停められる駐車スペースがあります。

石次郎海岸へ続く下りの階段
海岸までは下りの長い階段になるためベビーカーや階段が苦手なかたにはお勧めしにくい海岸ですが、約5分で石次郎海岸に到着です。

石次郎海岸
ははじま丸が沖港に入るときに、進行方向右側に見えるのがこの石次郎海岸ですが、プライベートビーチを感じるコンパクトな海岸で、サンゴが砕けた少し粗目の白い砂と石の海岸です。あまり人が来ない静かな海岸なので、のんびり過ごすのにいいと思います。
注意点としては、石次郎海岸の先は漁船や定期船「ははじま丸」の航路になっているため、石次郎海岸から脇浜なぎさ公園に泳いで渡る(沖港の横断)ことは禁止されています。また、海岸の左右には落ちやすい石があるため、休憩するのは海岸の真ん中が安全だと思います。
石次郎海岸
御幸之浜遊歩道入口へは沖港船客待合所から徒歩30分、車で10分、到着すると車が4台ほど停められる駐車スペースがあります。
階段をおりて遊歩道を進み徒歩5分ほどで海岸到着です。
こちらは1927年に昭和天皇が行幸された際に生物採集されたことで御幸之浜とよばれるようになりました。周辺は世界自然遺産の海域登録地で、どこまでも広がるサンゴ礁が見事です。
御幸之浜海岸

御幸之浜展望台から周辺の海域

御幸之浜
御幸之浜の海岸は、母島で火山活動があった時代に溶岩が流れてできた「ハイアロクラスタイト」という黒い岩場と、海中から打ちあがって白くなったサンゴの色の対比が独特な景観を作っています。周辺の断層には「貨幣石(かへいせき)」とよばれる大型有孔虫の化石がみられ、地質的にも興味深い海岸です。
日陰がほとんどないので、休憩時は御幸之浜展望台近くの休憩所に移動すると屋根付き休憩所とモモタマナの木陰があります。
御幸之浜海岸
南京浜
南京浜は、沖港船客待合所から徒歩35分、車の場合は10分、車が2台停められる駐車スペースから下りの階段を下りて3分ほどで海岸到着です。
泳ぎが得意なかたは御幸之浜から泳いでいくこともできます。
海岸はゴロタ石で、日陰はほとんどありません。
周辺は世界自然遺産の海域登録地なっていて、キクメイシやコブハマサンゴやサボテンミドリイシ等の造礁サンゴの広がりが見事です。

御幸之浜展望台から南京浜方面海域

南京浜
南京浜
【母島南部のスノーケリングポイント】
母島の南部に位置する南崎遊歩道からは、いくつかの海岸に出ることができる枝道があり、万年青浜・蓬莱根・ワイビーチ・南崎海岸などのスノーケリングポイントがあります。
南崎遊歩道には2カ所の遊歩道入口があり、
沖港から都道241号線を南に進むと「万年青橋(おもとばし)」の手前にある遊歩道入口を「万年青橋入口」、
都道241号線を終点まで進み「都道最南端」の看板がある遊歩道入口を「南崎ロータリー入口」などとよんでいます。
地元の人は、「手前の入口」や「奥の入口」などともいいますが、南崎遊歩道には2カ所の入口があることをおぼえておいてください。
万年青浜(おもとはま)
万年青浜は、沖港船客待合所から徒歩50分、車では10分の「万年青橋入口」から徒歩で南崎遊歩道を進み10分、ゴロタ石の海岸に到着します。
少し高くなった場所に展望台があり、万年青浜周辺で観察できる海の生き物の解説板が設置されています。

万年青浜展望台
冬場は潮流や波の影響で、特に漁具などの漂着物が多く、海岸が漂着ごみで一杯になってしまうことがあり残念ですが、海の中はイタアナサンゴモドキという板状のサンゴが独特な景観を作っています。
イタアナサンゴモドキには触手に毒があるので触らないようにしてください。

万年青浜
万年青浜
蓬莱根(ほうらいね)
蓬莱根は南崎ロータリー入口から遊歩道を進み、徒歩35分ほどで蓬莱根への分岐点に到着、蓬莱根への枝道を10分ほど歩くと海岸に到着します。
潮が引いているときや波がないときには磯伝いに岩場を歩いて蓬莱根行くこともできますが、岩場は滑りやすく、転ぶと貝や岩で手を切ることも多いので、スノーケリングで蓬莱根まで行くほうが楽でしょう。
ガイドブックやテレビで紹介されたこともあり人気がありますが、陸から歩いて行くのはお勧めできません。

蓬莱根海岸

蓬莱根
蓬莱根
ワイビーチ
ワイビーチは南崎ロータリー入口から徒歩で50分、分岐点からワイビーチまで5分ほどで海岸到着です。
正面には乳房山がみえ、広々とした海の景色が心地よい海岸です。
ワイビーチは「ホワイトビーチ」がなまって「ワイビーチ」になったといわれていますが、初夏からアオウミガメが産卵にやってくる白い砂の海岸です。
前夜にアオウミガメが産卵にやってきた翌日には砂浜にカメの足跡が残っていることもあります。

ワイビーチ下りの階段

ワイビーチから乳房山方面をみて
ワイビーチ
南崎海岸
南崎海岸は、南崎ロータリー入口から徒歩で50分、分岐点から10分ほどで海岸到着です。
サンゴが砕けた白く粗い砂と、海から打ちあがったノウサンゴやサボテンミドリイシ等と黒いゴロタ石が入り混じった海岸です。
遠浅の海ですが、海岸から見える小さな島(丸石)から沖にでると潮流で流されるため、沖に出ないように注意してください。海岸には日陰がありませんが、海岸から近い森の中にテーブルとイスの休憩所があり、モモタマナの木が日陰を作っています。

小富士山頂から見下ろす南崎海岸

南崎海岸から小富士方面をみて
南崎海岸
【母島北部のスノーケリングポイント】
母島の北部は沖港から10㎞ほどの距離になり、徒歩では約2時間、車では30分ほどの場所です。
沖港から北部には商店や自動販売機もないので、十分な飲み物を用意して行きましょう。また、母島北部は携帯電話の電波が届かない場所が多いので、北部に行く際には安全に気を付けてください。
東港(ひがしこう)
東港は、都道241号線を北に進み徒歩で約2時間、車で30分ほどの場所です。
東港には緊急避難港として整備された防波堤がのびていて、北港が荒れていてスノーケリングできないときでも、東港では波がなく泳げたということもあります。
スノーケリングの他、釣りでも人気がある場所で、防波堤の先端の黄色い灯台の近くで釣りを楽しむ人の姿も見かけます。

東港の長い防波堤
東港にはナガレハナサンゴやハマシコロサンゴ等のサンゴが多く、ツバメウオやウメイロモドキの群れや、アオウミガメと一緒に泳げることもあり、陸エントリーのダイビングポイントにもなっています。
東港には日陰がほとんどないので、日焼けには注意してください。水洗ではありませんが、近くに公衆トイレがあります。

東港から石門崎方面をみて
東港
北港(きたこう)
北港は都道241号線を北に進み、徒歩で約2時間、車で30分ほどの場所です。駐車スペースからすぐ海岸なので、荷物が多い場合も楽だと思います。北港に面して屋根付きの大きな休憩所と水洗ではない公衆トイレがあります。
海岸はゴロタ石と玉砂利で、奥行きがある入江になっていて、入江の両側の崖にそって素晴らしいサンゴ礁が広がっています。
アオウミガメやアジアコショウダイやアオブダイ等と一緒に泳げることもあり、地元の人にも人気があるスノーケリングポイントです。
北港周辺にはかつて北村集落がありましたが、太平洋戦争末期に住民が強制疎開し、小笠原諸島が返還されたのちも水道や電気等のインフラ整備がされなかったため現在は民家もありませんが、戦前の集落の様子がしのばれる看板が休憩所脇にあります。

北港の奥深い入り江

東山遊歩道から見下ろす北港
北港
【安全にスノーケリングを楽しむために】
母島は人が少なく静かな島で、スノーケリングに行ってもまったく人と出会わないということもあります。
危険を避けるために以下のことに注意してスノーケリングを楽しんでください。
母島南部では携帯電話の電波は場所によっては届きますが、母島北部では携帯電話の電波が届かない場所が多いので、特に注意してください。
1. 波やうねり、潮の流れに注意しましょう。
2. 体調が悪い時は無理をせず、泳ぐのは控えましょう。
3. 岩やサンゴでケガをしないようマリングローブやブーツを用意しましょう。
4. 日差しが強いので日焼けに十分注意しましょう。特に首や背中、耳の裏等の日焼け対策を万全にしてください。
5. 海岸と自分の距離に注意し沖にですぎないようにしましょう。
6. 海で泳ぐときは出かける前に宿の人に行先と帰宅時間を伝えましょう。
7. 安全のため2人以上で泳ぎましょう。
8. むやみに海の生き物に触らないよう注意しましょう。
9. 集落を離れると商店や自動販売機がないので飲み物は十分用意しましょう。
10. 自分のゴミは自分で持ちかえりましょう。
いかがでしたか?
母島のスノーケリングポイント10選、いかがだったでしょうか?
今から30年以上前、母島の民宿のアルバイトに来た私は休憩時間に毎日のように石次郎海岸でスノーケリングしたり乳房山に登ったりして、どんどんと母島の自然の魅力に取りつかれていきました。
母島に移住してからも休日には北港でスノーケリングしたり、時間があまりないときは気分転換に御幸之浜周辺でスノーケリングしたり、森・山の自然ガイドになる以前は本当によく泳ぎました。
幸いにして私自身はスノーケリング中に怖い思いをしたことがないのですが、経験が浅いかたがスノーケリング中に溺れたり、沖に出過ぎたかたが潮流に流され漁船に救助されたりしたことが過去の例にはあります。
母島でのご旅行を楽しい思い出にするためにも、上記の点に気を付けて安全なスノーケリングを楽しんでください。そして母島を大好きになってください!
【参考資料】
小笠原母島スノーケリングブック :一般社団法人小笠原母島観光協会発行

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