小笠原でのホエールウォッチングを楽しむために、クジラの行動を写真と動画で解説します。
テールスラップ
尾びれを空中に出して海面に叩きつける行動です。
よく見られる行動で、泳ぎながら海面をたたいたり、仰向けになってその場にとどまって叩いたり、時には逆立ちするような体制で何度も何度も海面を叩くこともあります。
海面を叩いた時の水音を、ほかのクジラへのコミュニケーションの手段にしたり、ほかのクジラへの攻撃的な意味で叩くこともあります。
ただ、子供のクジラが親クジラのテースルラップを真似てしているのも見られ、とても微笑ましく、何度も叩いているのを見ると「遊んでいるんじゃないか?」なんて思うこともあります。
大きな尾びれが海中から持ち上がるときに上がる水しぶきや、尾びれの縁からはじき出されるような水しぶきはとても迫力があり美しい。
迫力があり、何度も繰り返されるので写真も撮りやすく、テールスラが始まるとボート上は盛り上がります。
ぺダンクルスラップ
クジラが尾びれを含む下半身を海面からひねりを加えて宙に投げ出し、激しく海面に叩きつける行動です。
テールスラップが遊びのように見えるときもありますが、これは間違いなく攻撃的に見えます。
オスがメスクジラをめぐって競っているときに、他のクジラに対しの威嚇するような場合に多く見られます。
スパイホップ
クジラが海面から顔を突き出すような行動です。あたりを確認するといわれていますが小笠原では頻繁には見られないようです。
スパイホップはブリーチのように勢いよく海面にでるのではなく、にょきっというような感じで静かに海面に顔が出てきます。
ブリーチ(ブリーチング)
ホエールウォッチングで一番見たい行動が、なんといってもこのブリーチ!
いわゆるクジラのジャンプですね。
ホエールウォッチングの紹介に必ずと言っていいほどトップページに紹介されるのではないでしょうか?
なぜクジラがブリーチをするのかはわかっていませんが、ブリーチした時の激しい音がほかのクジラへの合図、体の古い組織や体についている寄生虫を落とすため、ただ遊んでいるなど様々な理由があるようです。
その理由はともかく、このブリーチングはホエールウォッチングで最も心躍る瞬間であることは間違いないですね。
ただ、いつ飛ぶかはわかりません。
「飛ぶときは飛ぶ!」
という当たり前のようなことなのですが、それが事実。
おとなしかったクジラが、突然スイッチが入ったかのようにブリーチングを何度も繰り返し、連動するように親子で飛ぶようなこともあります。
一度きりで終わってしまうこともあれば、10回以上繰り返されることも。
写真におさめるのは1回目は難しいですが、2回3回と繰り返してくれると写真に撮りやすいですね。
クジラのリピーター!?
フルークアップの説明のところで、尾びれで個体識別できると書きましたが、小笠原で有名なのがモッチーニと名付けられたメスのクジラです。
1992年に小笠原で生まれて、2000年に最初の子供を連れているのが確認されました。
以来、2,3年おきに子供を産んで育てています。
昨年2018年にも小笠原で確認され、2017年には子供を連れているのが見られました。(小笠原で確認された9番目の子供だそうです)
特徴的な尾びれなので、ウォッチングしていても簡単に見分けることができます。
このように名前を付けているクジラがいると、会う楽しみも増えますよね!
もし、過去に小笠原に来た時に見たクジラと再会できたら感動ものではありませんか?
僕たち島のガイドにとっても、数年おきに帰ってきて子供を産み、子育てするモッチーニとの再会はとてもうれしいものですし、小笠原の海が、彼らにとって安心して子育てできる場所だと認めてもらっているようでうれしく思います。
だからこそ、この環境をいつまでも守っていかなければと思います。
それは海をきれいに保つこともありますが、定められているウォッチングのルールをしっかりと守って、クジラたちの生活にストレスをかけないようにしていくことも大事でしょう。
ここ数年、父島ではウォッチングするボートも増えましたが、みながルールを守った穏やかな優しいウォッチングをしているので、クジラたちもボートがいても危険なものではないと思ってくれているのではないでしょうか?
小笠原はこれからクジラの数はどんどん増えてピークは2月から3月です。
3月にはこの年生まれた子クジラを見ることもできるでしょう。
みなさんもホエールウォッチングするときには、今回書いたクジラの行動に着目してウォッチングすると、より楽しみが増えるのではないでしょうか?
ホエールウォッチングで観られるクジラの行動を動画で紹介!
写真家・ガイド
南 俊夫
22歳の時に初めて小笠原を訪れる。大学卒業後、設計会社に勤めるが27歳で父島に移住。以来、20年のダイビングガイドをしながら小笠原の自然を撮影し続ける。2011年からはアホウドリの保全活動にも従事しする。
作品は国内外の広告、出版物で使われ、2015年にはアメリカのネイチャーズベストマガジンの表紙を飾った。
著書
「イルカ海に暮らす哺乳類」あかね書房
「僕はアホウドリの親になる」偕成社
受賞歴
2000年
ナショナルジオグラフィックフォトコンテスト入賞
2008年
米、ネイチャーズベストマガジンフォトコンテストOcean部門入賞
2011年
米、ネイチャーズベストマガジン・Ocean Vewsフォトコンテスト2nd Place
2015年
米、ネイチャーズベストマガジン・Ocean Vewsフォトコンテスト11nd Place
写真展
2012年6月
「コニカミノルタ環境企画展OGASAWARA未来へつなぐ自然展」 新宿コニカミノルタギャラリー
2013年11月
「海のシェルパ展 AQUANOTE」四人展 新宿ヨドバシカメラギャラリーINSTANCE
2015年10月
「小笠原の今を知る 南俊夫写真展」葛西臨海水族園
2018年10月「アホウドリ復活への挑戦 ~小笠原で行われたこと」品川キヤノンギャラリー
作品は下記ウェブサイトで見ることができる。
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日本で最初にホエールウォッチングツアーが行われたのは小笠原なんです。
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