自然

小笠原地域振興の新しい取り組みパート3 「製材」と「木工所」

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OEDC02

石井さんと島田センター長

3回目の今回もOEDC(小笠原生態系保全に基づく開発委員会)の活動についてお伝えします。
今回は「丸太製材」と「木工所」について。

2020年4月25日に開催予定の『ライブドリアード in Ogasawara』に向けて大神山公園内に期間限定の木工所が開設されたそうです。木工機器は「地域の持ち寄り」なんて小笠原らしいですが、何をされるのでしょう?(こちらのイベントは延期なりました)

その辺りを『(公財)東京都公園協会 大神山公園サービスセンター』の島田センター長と、『小笠原グリーン株式会社』の石井さんにお話を伺いたいと思います。

インタビュー

小笠原マガジン編集部
大神山公園に木工所ができたそうですが経緯と目的を教えていただけますか?

石井
私はOEDCに参加していないのですが、小笠原グリーンが事務局として参加していることから木工所での作業を担当させていただいてます。
OEDC会議でライブドリアードのイベントテーマが「資源利用と産業の多様化」に決まったと伺っています。
それを受け社内で最良の見せ方を検討した結果、去年の台風21号の倒木で工業製品をつくって触れてもらえれば、地域の皆さんにも可能性を感じてもらえるのではないか?と意見がまとまりました。
大切なのは1点ものではなく、量産品をつくることです。
決まったのはアウトドアセンターで手に入りそうなガーデンテーブル。しかも折りたたみ式ということになりました。
それでは木工所開設が必要だということになり、東京都公園協会さんにご相談したのか始まりです。

島田
ご相談を受けたのは去年の12月頃だったと思います。
通常、一企業が公園内を占有することはできないのですが、『ライブドリアード in Ogasawara』の趣旨に賛同し、公園協会もOEDCのメンバーに参加させていただきました。
台風倒木処理などもあり、それならご一緒にやりましょうということで始めました。
木工機器はOEDCメンバーの持ち寄りです。
イベント開催までの期間限定ということでもあり一肌脱がせていただきました。
指定管理者を含めた都民協働・地域振興のモデルケースとしても期待しています。
確かガーデンテーブルは、イベント終了後も、他のイベントに利用させてもらえるとも伺っております。(笑)

OEDC01

小笠原マガジン編集部
ガーデンテーブルの量産化でご苦労していることを聞かせてください。

石井
生木を使うことです。試作1号機は完成して3日で天板が外れました。
島田所長と四苦八苦しながら、試行錯誤を繰り返しています。
今のところは製材加工後すぐに櫓を組んで、扇風機で含水率を一定まで下げています。
一定数値まで下がったところでプレーナー(鉋)掛けをして、速やかに天板を組み上げ固定すると暴れが少ないことがわかってきました。

島田
あとはモクマオウの硬さ。あの硬さには参りました。
グリーンさんが以前から云っていた通り、屋外用の木材として可能性を感じました。
我々としても木の特性を実体験することができ、とても勉強になっています。
他の都立公園にも知見を活かしていきたいですね。

OEDC04

小笠原マガジン編集部
端材もイベントで利用されるそうですが?

島田
端材は『ロケットストーブづくり体験』で使用してもらう予定です。ロケットストーブを作ってから前浜で『火遊び体験』に移行するようなのですが、その燃料として利用するそうです。
ロケットストーブを熱源に『小笠原コーヒーの焙煎』もするようですよ。

石井
イベントだけでなく、作業していると通りがかりの人が端材を持っていきますよ(笑)
先日は小笠原高校の3年生が来て卒業記念をつくる材料として利用してくれました。
おが屑も樹種別にとってあるので、色々利用して欲しいですね。

OEDC03

小笠原マガジン編集部
今はまだ期間限定ということ、将来的に木工所を開設するご予定はあるのですか?

石井
ぜひ、このまま使用させて欲しいですね。ロケーションも良いし公園サービスの一環で事業化しませんか?私たちが管理しますよ。

島田
私の口からは…(笑)

石井
冗談はさておき、OEDCメンバーで木工fabを検討されてる方がいるようです。
木工fabとは利用料を払って木工所を利用できるサービスで、内地でも流行ってきているようですよ。小笠原ではニーズが高そうじゃないですか?
木の利用を拡げていくことは私の目標ですが、それがキッカケになり、他の資源利用に繋げていくことを目標に掲げるOEDCができたことは心強いですね。

OEDC05

小笠原マガジン編集部
最後に『ライブドリアード in Ogasawara』への想いをどうぞ!

島田
島民の皆さんから、高校を卒業すると子どもたちは、島を離れて行ってしまうことが多いと聞き、少しさびしさを感じていました。
子どもたちに夢を持てと大人が無責任に話していても…なんて思いもありました。
そんな時、この『ライブドリアード in Ogasawara』のお話をお聞きし、まさにこれだ!10年後も30年後も…島で暮らす彼らの笑顔を見たいというのは島民共通の思いですよね。
島の資源を活用し子供たちが自分の中の可能性を掘り起こしていってもらえるきっかけになればと。
そんな壮大な!でもとっても大切な!イベントに参画でしたことうれしく思っております。
最期に公園協会もブース出店します。
ウッディクラフトです。ぜひご来店くださいね!

石井
ライブドリアードでは私たちの作ったガーデンテーブルを「見て」「触れて」「持ち上げて」欲しいです。
・・・・・・重いです(笑)
この重さは小笠原の木々の歴史の重さだと思います。
イベントでは資源を大切に利用していくことをご来場の皆さんと共有できたら幸せです。

アカギの天板
焼きリュウキュウマツの天板

左はアカギ、右はリュウキュウマツの天板(いずれも外来種)

こちらの記事で紹介している『ライブドリアード in Ogasawara』イベントは延期となりました

アカギギター

OEDC

小笠原生態系保全に基づく開発委員会

地域資源を利活用することで、産業を多様化させることを目的に設立しました。
メンバーは島内の各産業分野を担う経営者など。 また、生態系保全のための各分野を専門とする有識者がアドバイザーと参加しています。