自然

小笠原地域振興の新しい取り組みパート1 「島の資源」と「その利用」

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丸太製材風景

地域振興を目的とした島の新しい取組を、小笠原マガジン編集部からの依頼で、小笠原村観光協会の小林さんが現場に密着し、お伝えするシリーズ企画がスタートします。

第一回は「島の資源」と「その利用」について。

「外来種」というと駆除するというイメージが強いですが、この外来種を新たな産業資源として利用する動きが島に拡がってきています。

2018年に設立された『OEDC(小笠原生態系保全に基づく開発委員会)』もその一つ。

樹木やヤギなど、今まで利用されず処分されていた物を利用し、産業化させていく取組をされているそうです。

今回は委員長の竹澤さんにお話を伺います。

インタビュー

竹澤さん

小笠原マガジン編集部
なぜ、このような協議会を立ち上げたのですか?

竹澤
脆弱な島の産業構造と内地への資源依存を考えると、人口減少社会に小さな離島がどうやって生き残るのか?が見えませんでした。

そこで、島内で同じ危機感を抱く仲間達と2018年の11月にOEDCを立ち上げました。1年半弱の活動で参加者(団体)も増え、2020年2月現在で約30名(団体)が集まっています。

まずは駆除された外来種などゴミになっているものを資源に活動している仲間が多いが、今後は固有種や外来種に関わらず様々なものを資源として捉え、「物産」や「エネルギー」などに活用することで「観光地としての魅力向上」につなげたいと思います。

小笠原マガジン編集部
小笠原の外来種駆除は「公共事業」と「ボランティア活動」の2種類の取り組みがありますが、どちらの取組を産業化させていくのですか?

竹澤
両方です。公共事業では外来種を駆除するだけで、その後の方針や目標については地域合意が為されていないことから、「在来植生の播種や植林」など、その後の再生に繋がる事業展開ができていません。
OEDCでは多くの島民から意見を集約できるような横の連携を強化し、小笠原の未来像を含めた地域合意を得る組織にしていきたいです。

外来種アカギのカウンターテーブルで

イベントについて

小笠原マガジン編集部
今後の活動について教えてください。

竹澤
2020年4月25日にイベントを開きます。(こちらのイベントは延期となりました)

外来種だけでなく地域にあるもの全てを活用して産業に厚みをつける。人口減少社会でも生き残っていける離島モデルを作ろう!というテーマのイベントです。

今回はお祭り広場で木を伐採してその場で製材する「製材ショー」をします。それを併設の木工ブースで加工できます。加工した木材は「ボールペンづくり」や「アクセサリー」にする体験がでます。

また廃材は「ロケットストーブを組み立てるワークショップ」を開くので、完成させた後は端材を燃料にして「前浜で火遊び」できます。ロケットストーブの熱は「小笠原コーヒーを焙煎するワークショップ」としても利用します。

それと大人から子供まで楽しめる「ツリークライミング体験」や島の木で作った「ジャンベを叩くワークショップ」もひらきます。

その他、地の素材を活かした飲食店舗と物販もおこないます。
飲食店の周りには昨年の台風21号の倒木を利用した「ガーデンテーブル」を30基作ってカフェ風に並べます。
物販ではアノールの骨格標本なんかも販売する予定です。

夜の部では資源利用についてのパネルディスカッションと音楽ライブをMIXさせたシンポジウムをひらきます。
アカギで作ったウクレレやギター、ジャンベを使用して小笠原フラも披露してもらいます。

大人は勿論、未来を担う島っ子たちに一人でも多く参加して欲しいですね。

このイベントに参加するには4月22日(水)東京竹芝発のおがさわら丸に乗船すれば誰でも参加できます!時刻表は小笠原海運HPでご確認ください。

アカギボールペン

外来種アカギで作ったボールペン

ガーデンテーブル1

台風21号の倒木を利用したガーデンテーブル

タマナのジャンベ

アカギで作ったウクレレとタマナでつくったジャンベ

小笠原マガジン編集部
最後にOEDCを設立して何か変化はありましたか?

竹澤
個人や小規模事業者の「モノづくり」に対する敷居が大きく下がってきました。
今のところ、木工がメインになっていますが、染色やアロマ、熱利用をしたいという声も高まっています。駆除されるノヤギを利用していきたいという声も出ています。
資源を余すことなく利用しながらも、アドバイザーの各有識者が支えてくれてるので産業振興一辺倒にならず生態系保全に貢献できる体制になってきました。
これは世界遺産に住む者として、我々が守りたいルール。更に向上させていきたいです。

小笠原マガジン編集部
世界遺産らしい取組として将来が楽しみですね。世界遺産として観光価値も上がりそうです。
島内にまだまだやりたい人はいるのではないですか?OEDCに参加したい場合にはどうすれば良いのですか?

竹澤
運営事務局の小笠原グリーンに「OEDCについて」とお問い合わせください。
電話:04998-2-2523
Email:info-oedc@ogasawara-grenn.co.jp

こちらの記事で紹介している『ライブドリアード in Ogasawara』イベントは延期となりました

アカギギター

OEDC

小笠原生態系保全に基づく開発委員会

地域資源を利活用することで、産業を多様化させることを目的に設立しました。
メンバーは島内の各産業分野を担う経営者など。 また、生態系保全のための各分野を専門とする有識者がアドバイザーと参加しています。