自然

内地で感じる小笠原の自然・その1 神代植物公園編

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一度も大陸と地続きになったことがない「海洋島」の小笠原諸島。
その地理的条件から独自に分化し、小笠原だけに生息する「固有種」となった植物も数多くあります。

唯一無二の自然環境は小笠原の魅力。
貴重な小笠原の植物を、都内で見られる場所をご紹介します。

小笠原の植物図鑑のような「小笠原植物室」へ!

「大温室」では小笠原の植物を一年中鑑賞できる

東京都調布市の「神代植物公園」は、約4,800種類、10万本・株の樹木が植えられている、日本を代表する植物公園です。

平成28年に、世界の熱帯植物を集めた「大温室」がリニューアルオープン。
その中にある「小笠原植物室」で小笠原の植物を鑑賞することができます。
小笠原植物室に植栽されている植物の種類は33種、うち23種が貴重な固有種!
島でもなかなか見られない、貴重な植物に出会える場所なんです。

◆ タコノキ◆ タコノキ科・固有種

港周辺や山の中、島内に広く分布する「タコノキ」は、その名のとおり、何本も伸びた支柱根がタコの足のように見える植物です。

(左:神代植物公園にて撮影 右:父島にて撮影)

周囲がトゲ状になっている葉の長さは1m以上にもなります。
小笠原の工芸品「タコノ葉細工」は、タコノキの葉を利用して作られています。

二見港から山の中まで、島内各所で見られるタコノキ。
右の写真のように、支柱根がワイルドに成長しているものも!

◆ オガサワラビロウ◆ ヤシ科・固有種

海岸から山まで、島に広く分布しているヤシ科の常緑高木です。大きなうちわのような形の丈夫な葉は、昔は屋根葺きに使われていました。

今も大浜海岸にある休憩舎の屋根などに利用されています(撮影:父島)

◆ テリハハマボウ◆ アオイ科・固有種

高さ3m〜10mの常緑高木で、主に山地林に生息。
広域分布種の海岸植物「オオハマボウ」が分化したものだといわれています。

テリハハマボウ

温室内では、その高さで存在感を示しており、優雅で鮮やかな黄色い花を咲かせていました(3月中旬) 。

1日で黄色から赤に変色してしおれる一日花で、その生態から島では一日(イチビ)=「イチビ」と呼ばれています。
海岸沿いでよく見られる広域分布種の「オオハマボウ」が「カイガンイチビ」と呼ばれるのに対し、固有種の「テリハハマボウ」は「オカイチビ」と呼ばれています。

テリハハマボウ

テリハハマボウが黄色から赤に変色している様子

◆ヤロード◆ キョウチクトウ科・固有種

空に向かって両腕を広げるように、竹のような節のある細い幹を伸ばしているヤロード。
語源の「yellow wood」が訛って「ヤロード」という和名になりました。
常緑高木で、高さ7m以上まで成長します。

葉は厚みがあり、瑞々しい緑色。
細長い花弁の、可憐な白い花を咲かせていました(3月中旬)。

「神代植物公園」で観られる小笠原の貴重な固有植物、いかがでしたでしょうか。

次回は絶滅危惧種や、北硫黄島に生育する希少な植物をご紹介したいと思います。

都立 神代植物公園

都立 神代植物公園

https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index045.html

 

開園時間
午前9時30分~午後5時(入園は午後4時まで)

 

休園日
毎週月曜日(月曜日が祝日にあたる場合は、その翌日)
年末年始(12月29~翌年1月1日)

 

入園料
一般・大人 500円(団体:400円)
65歳以上 250円(団体:200円)
中学生 200円(160円) ※都内在住・在学の中学生は無料
小学生以下無料

のなかあき子

元島民ライター

のなかあき子

2015年〜2017年春まで父島居住。
2児の母。島生活で太鼓とパッションフルーツに目覚める。
父島のおすすめスポットは「製氷海岸」「コペペ海岸」「三日月山展望台への脇道」。
著書に『東京のDEEPスポットに行ってみた』(彩図社)など。

https://twitter.com/akikononaka