海のアクティビティ

小笠原のダイビングポイント「マグロ穴」って、こんなにすごいんです!

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小笠原にやってくるダイバーたちにとって、あこがれの場所があります。

それがケータ(聟島)列島のダイビングスポットです。
このケータにはダイナミックな地形の海と、大型の回遊魚やサメなど見られるスポットが数多くあります。

そのケータ列島の最南端(父島から約50キロ)に嫁島という島があります。
その、嫁島にあるマグロ穴というスポットは、世界にも類をみない絶景スポットなのです。

マグロ穴

これがマグロ穴、夏のシーズンには多くのダイビングボートが集まります。

この凱旋門のような岩、一見するとボートで通り抜けられそうですが、出口は浅くなっていて通り抜けることはできません。

この穴の中にイソマグロというマグロが群れをなして泳いでいるのです。

イソマグロ

イソマグロ 大きいものは100キロを超えて顔も厳つく迫力満点

その数は多い時には100匹以上!イソマグロは大きいものは1m以上、体重は100キロにもなります。そのイソマグロがこの穴の中をぐるぐると泳ぎまわる様子は、まさに海中の絶景です。
ただ、いつでも穴の中にイソマグロがいるわけではありません。

繁殖の時期に集まるといわれ、5月ころから9月ころまでがそのシーズンで、それ以外の時期に潜ってもマグロの姿はほとんど見られません。
また、イソマグロは、日中の明るい場所を避けて暗い所に集まるので、天気が悪いと(外も穴の中も暗いので)外に出ている場合もあります。

この「マグロ穴」、潮の流れているときが多く、船を係留しないドリフトダイビングで潜るので、潜行ロープなしでも一人で潜行、安全停止ができるくらいのダイビングスキルが必要となります。
もちろん初心者の方は、ガイドさんたちがサポートしてくれると思いますが、ある程度のスキルがあったほうが余裕をもって楽しめるでしょう。

マグロ穴

穴の中を回遊するイソマグロの群れ 穴の奥から入り口に向けて撮った写真

「マグロ穴」の入り口まで近づけたボートからエントリーしたら、「マグロ穴」の中まで泳いで行き、流れが速いときは着底し、岩などにつかまって、穴の中を泳ぎまわるマグロを見るというダイビングスタイルをとります。

水深は15mほどですが、この時に注意するのは穴の中を泳ぐイソマグロがダイバーの泡に驚いて穴の外に逃げて行ってしまわないように、ダイバーは穴の両サイドに並んでマグロを見ます。

興奮してマグロの群れに突進してしまうと、イソマグロたちは一瞬で穴の外に出てしまって戻ってこないこともあるので、落ち着いてガイドの指示を守ってください。

カッポレ

穴のなかではカッポレの群れが見られることも多い

そして、このポイントのすごいところは、イソマグロの群れだけではないのです。

「マグロ穴」の絶景を堪能した後にもお楽しみがあります。
穴の沖側にはシロワニが住むオーバーハング(崖の暗がり)があって、イソマグロを見た後にシロワニまで見られてしまうこともあります。

ただ、このシロワニがいる場所は水深30mほどと深いのと、ダイビングの最後のほうになるのでエアーの残り具合によってはいけないこともありますし、年によっては、シロワニがいる確率が変わるので、見ることができたらラッキーといった感じでしょうか。

シロワニ

水深30mのオーバーハングに潜むシロワニ 3匹いるときもある。

シロワニの場所まで行けない場合でも沖へ行くとウメイロモドキやクマササハナムロの群れなどが見られる場合もあります。

ウメイロモドキ

360度ウメイロモドキの群れに囲まれることも!

そして、ミナミハンドウイルカとの遭遇率もこの場所は高いのです。

小笠原でダイビング中にイルカと出会える確率が一番高いのは、多分ここマグロ穴です。

ダイビング中にやってくるイルカは、ダイバーたちの周りをクルクルと泳ぎまわってくれます。これはドルフィンスイムのように人のほうからイルカにアプローチするのではなく、イルカのほうから人に興味を持って来てくれるということなので、感動も倍増です。

というように、本当に幸運な人は、イソマグロの大群、シロワニ、イルカの登場と全部が見てしまう場合もあるのです。(ガイドの立場としては、別々の時に現れてほしいのですが)

もちろん、自然のことなので、シロワニも留守でマグロが3匹しかいなかったなんてときもありますが、シーズン中でよっぽどのことがなければイソマグロは30匹くらいは見られると思います。

この「マグロ穴」毎日でも潜りたい気はしますが、父島から大海原を2時間近く走るので波があると行けません。無理して行ってもマグロ穴に到着するころには全員が船酔いでダウンなんてことにもなりかねません。そのため、海が穏やかになる夏場にケータツアーが開催されていますが、海の安定する夏の時期でも、海況が悪い日は行けないこともあります。
そのため、初めて小笠原に来て行ける人もいれば、何度か来ても今だに行けない人もいるのです。

ゴールデンウィークからが「マグロ穴」のシーズンです。
2018年のゴールデンウィークのおがさわら丸のスケジュールももう出ています。
https://www.ogasawarakaiun.co.jp/service/
(発売は2018年3月6日9:00~です)

海中の絶景!「マグロ穴」のイソマグロを見に来てはどうでしょうか!

南俊夫

写真家・ガイド

南 俊夫

22歳の時に初めて小笠原を訪れる。大学卒業後、設計会社に勤めるが27歳で父島に移住。以来、20年のダイビングガイドをしながら小笠原の自然を撮影し続ける。2011年からはアホウドリの保全活動にも従事しする。
作品は国内外の広告、出版物で使われ、2015年にはアメリカのネイチャーズベストマガジンの表紙を飾った。
著書
「イルカ海に暮らす哺乳類」あかね書房 
「僕はアホウドリの親になる」偕成社
受賞歴
2000年
ナショナルジオグラフィックフォトコンテスト入賞
2008年
米、ネイチャーズベストマガジンフォトコンテストOcean部門入賞
2011年
米、ネイチャーズベストマガジン・Ocean Vewsフォトコンテスト2nd Place
2015年
米、ネイチャーズベストマガジン・Ocean Vewsフォトコンテスト11nd Place

写真展
2012年6月
「コニカミノルタ環境企画展OGASAWARA未来へつなぐ自然展」 新宿コニカミノルタギャラリー
2013年11月
「海のシェルパ展 AQUANOTE」四人展 新宿ヨドバシカメラギャラリーINSTANCE
2015年10月
「小笠原の今を知る 南俊夫写真展」葛西臨海水族園
2018年10月「アホウドリ復活への挑戦 ~小笠原で行われたこと」品川キヤノンギャラリー
作品は下記ウェブサイトで見ることができる。

http://toshiominami.com/