海のアクティビティ

ドルフィンスイム中にイルカと海藻キャッチボール?驚きのシーンを写真付きで!

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小笠原で人気のアクティビティの一つが野生のイルカと泳ぐドルフィンスイムツアーです。

ドルフィンスイムは国内では伊豆諸島の御蔵島や利島でも行われています。対象となるのは小笠原と同じミナミハンドウイルカです。
小笠原のドルフィンスイムツアーは、おがさわら丸の入出港日には半日で、それ以外の日は1日のツアーで催行されています。イルカを探しながら、1日かけてボートで海を巡ります。イルカを探す他にも、南島を上陸したり、海域公園でシュノーケリングをしたりします。

野生のイルカと泳ぐドルフィンスイム

好奇心旺盛なミナミハンドウイルカの親子 カメラを覗き込んできた。

「イルカがいつもいる場所」というのは残念ながらありません。父島以外にも、兄島、弟島、孫島、南島など、広い範囲のどこにイルカがいるのかは、その日によって違います。そのため、イルカに出会えるかはどうかは運次第。

出港したら、島の周りをイルカを探しながらボートを走らせ、イルカを探しますが、出港してすぐに見つかることもあれば、1日探しても見つからず港に戻る直前に見つかるなんてことも。
(イルカは野生動物ですので見つからないこともありますし、海況が悪いときは広範囲を探せないこともあります。)

また、スクーバダイビングのツアーでもダイビングの合間にイルカを見つけてドルフィンスイムをしたり、ウォッチングをすることもあります。(ダイビング中にイルカが現れる幸運なこともあります)

ドルフィンスイムについては過去の記事を参考にしていただくとして、今回は私が見たイルカの面白い行動について書きたいと思います。

イルカと至福の時を過ごす

イルカが好奇心旺盛で遊ぶ気満々!というときに出会えると、まさにドルフィンスイム!の言葉通り、泳ぐのが上手な人はイルカの動きに合わせてくるくる回ったり、ゆっくりと寄り添って泳いだり。泳ぎが苦手で、ライフジャケットを着て浮いているだけの状態のときも、周囲をクルクルと泳ぎ回ってくれる場合こともあります。イルカが人から離れずに、10分以上も一緒に泳げてヘトヘトになるようなこともあります。

ただ、相手は野生動物、人に興味がなかったり、睡眠中のときは(イルカは泳ぎながら寝ます!)人を無視してすーっと泳ぎ去ってしまうこともありますし、威嚇のために近寄って周囲を泳ぎ回ることもあります。そのときのイルカの状態に合わせて、ガイドさんがイルカへのアプローチを考えて泳ぎますので、ガイドや船長の指示を守ってください。

ドルフィンスイム

フレンドリーなイルカとのドルフィンスイム。 イルカと呼吸を合わせて泳ぐ光景は、まるでダンスを踊るかのよう。

イルカは遊びが大好き

イルカは遊び好きです。海藻を口や背びれや尾びれに引っ掛けて遊んだりします。海藻を放してから取りに来たり、2頭で取り合ったりと楽しそうに遊びます。

野生のイルカと泳ぐドルフィンスイム

海藻をムナビレにかけて泳ぐイルカ

野生のイルカと泳ぐドルフィンスイム

2頭で海藻を取り合いして遊ぶイルカ。下にいるイルカが海藻を口にしている。

そして、ドルフィンスイム中に海藻遊びが起きると、私たちも交じることができるチャンスがあります。海藻キャッチボール!といっても良いでしょうか?

イルカと意思疎通ができるとは思いませんが、この瞬間、イルカの遊び相手として、認めてもらったと言っても良いかもしれません。

イルカが放した海藻を手にとって差し出す。

野生のイルカと泳ぐドルフィンスイム

見事にイルカが口先でキャッチ!

上手にイルカと一緒に遊ぶためには、スキンダイビングの技術は不可欠です。

スキンダイビングの講習を、おがさわら丸の入港日に行っているガイドサービスも多いので、参加して最低限の技術を身に着けていくこともオススメです。

ドルフィンスイム中、いつ海藻キャッチボールのチャンスが巡ってくるかわかりません!

野生の生き物と、こんなにも親密に接することができることは、なかなかない体験です。

他にも、捕まえたサカナを食べずに、何度も放しては口にくわえる、という行動も見られます。

見た目はちょっと残酷に感じるかもしれませんが、親子でやるのを見ると、餌取りの練習でもしているのかな?とほのぼのした気持ちになります。

私が見た遊びの行動で最も驚いたのが、ナマコをつかって、キャッチボールのような行動をする2頭のイルカです。

白砂の海底にいたナマコを見つけたイルカが、ナマコを口先で持ち上げるようにして放り投げると、そのまま口先で突きながら器用に落とさないように泳ぎだしました。すぐに別のイルカがやってきて、そのイルカに近づいて寄り添って泳ぎます。すると、ナマコを持ったイルカは、ナマコを口先から放り投げるように放しました。もう1頭のイルカは「待ってました!」とばかりにナマコを口先でキャッチ!

その後は、交互にナマコを突いて遊んでいました。まるで、サッカーのパス練習のようで、口先で器用にナマコを持つ様子はリフティングのようでした。

野生のイルカと泳ぐドルフィンスイム

ナマコを器用に口先で運ぶ「ナマコリフティング」

イルカはボートの舳先を泳ぐのも好きで、走るボートの舳先にやってきて、ボートを先導するかのように泳ぎます。

よく見られる光景なのですが、このときはボート上にも興味があったようで、棒に付けたウェアラブルカメラで撮影していたら、そのカメラに興味津々!仰向けになって泳いで眺めたり、何度もジャンプして、カメラを口先で突こうとしたりと、まるで水族館の曲芸を見ているようで、ボート上は大歓声でした。

棒カメラをジャンプで突こうとするイルカ。まるで水族館の曲芸。

小笠原ではドルフィンスイムは1年中できますが、これから水温もどんどん上がって10月ころまではボニンブルーと呼ばれる濃紺の美しい海でイルカと泳ぐことができます。

野生のイルカとこんなにも身近に接することができるドルフィンスイム。もしかしたらイルカと泳ぐだけでなく、イルカと海藻キャッチボールや曲芸シーンに出会えるかもしれません!

一生に一度の体験をしにきませんか?

南俊夫

写真家・ガイド

南 俊夫

22歳の時に初めて小笠原を訪れる。大学卒業後、設計会社に勤めるが27歳で父島に移住。以来、20年のダイビングガイドをしながら小笠原の自然を撮影し続ける。2011年からはアホウドリの保全活動にも従事しする。
作品は国内外の広告、出版物で使われ、2015年にはアメリカのネイチャーズベストマガジンの表紙を飾った。
著書
「イルカ海に暮らす哺乳類」あかね書房 
「僕はアホウドリの親になる」偕成社
受賞歴
2000年
ナショナルジオグラフィックフォトコンテスト入賞
2008年
米、ネイチャーズベストマガジンフォトコンテストOcean部門入賞
2011年
米、ネイチャーズベストマガジン・Ocean Vewsフォトコンテスト2nd Place
2015年
米、ネイチャーズベストマガジン・Ocean Vewsフォトコンテスト11nd Place

写真展
2012年6月
「コニカミノルタ環境企画展OGASAWARA未来へつなぐ自然展」 新宿コニカミノルタギャラリー
2013年11月
「海のシェルパ展 AQUANOTE」四人展 新宿ヨドバシカメラギャラリーINSTANCE
2015年10月
「小笠原の今を知る 南俊夫写真展」葛西臨海水族園
2018年10月「アホウドリ復活への挑戦 ~小笠原で行われたこと」品川キヤノンギャラリー
作品は下記ウェブサイトで見ることができる。

http://toshiominami.com/